クビが確実な海上保安庁長官、航空局長時代に静岡・茨城空港をつくったロクでもない官僚だった

(日刊ゲンダイ2010/11/9)


因果応報だよ

尖閣沖の漁船衝突ビデオ流出で国会に呼ばれたり、テンヤワンヤなのが海上保安庁の鈴木久泰長官(57)。発覚直後は「(ビデオは)厳重管理している」と自信マンマンだったが、石垣海保関係者の“犯人説”が濃厚になるにつれ、強気の発言はすっかりナリを潜めてしまった。前代未聞の事態にクビは避けられそうにないが、一体どんな人物なのか。

「東大法学部卒で、75年に旧運輸省に入省。宮崎県に出向し、復帰してからは運輸・航空部門の経験が長い。趣味はテニスと囲碁だが、あまり目立たないタイプで、頭角を現すようになったのは、関西国際空港の課長として整備事業を担当してからです。当時の上司は岩村敬飛行部長で、その後次官に上り詰める岩村と歩調を合わせる形で航空局次長、航空局長と出世していきました」(国交省担当記者)
国交省の航空局といえば、空港整備特会を使い、デタラメな需要予測をもとにムダな地方空港をドンドン造ってきた悪しき「日の丸行政」の代表格だ。

「鈴木もそんな“日の丸体質”を引き継ぎ、開港前から赤字予想の静岡、茨城空港の整備を強引に進めた張本人と報じられています。JAL破綻とも無縁じゃないでしょう」(航空ジャーナリスト)
08年、国交省の外局である海保に横スベリ。幸せな官僚人生を全うし、後は天下りを待つだけの身だったが、因果応報か、最後にスッ転んだわけだ。

「鈴木長官の危機意識の低さは、国交省局長時代にもエピソードがある。07年8月、400人余りの乗客を乗せたJAL機が、グアム上空で米軍戦闘機の追尾を受け、衝突防止装置の回避指示が2度も発せられる緊急事態が起きました。ところが、国交省が米側に事実関係の報告を求めたのは1カ月も経ってから。国会でこの問題を追及された当時の鈴木航空局長は経過説明に終始するばかり。一歩間違えれば大惨事という危機感を全く抱いていませんでした」(前出の航空ジャーナリスト)

この危機感のなさでは、引責辞任の回避も無理だろう。



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