112事業「仕分け」骨抜き 蓮舫大臣こそカネ返せ  (日刊ゲンダイ 2010/11/10)


完全に官僚にナメられた!

女優・篠原涼子が、行政のムダをあぶり出し、官僚に「カネ返せ」と迫る――そんな人気ドラマのように、現実はいかないようだ。


蓮舫行政刷新相が率いる「事業仕分け」で「廃止」や「見直し」と判定されたのに、省庁側が骨抜きにしている事業が、12府省庁の112事業にも達していた。予算計上を見送られながら、名称を変えて事業を継続したり、複数の廃止事業をくっつけて予算を増額要求したり……。“焼け太り”を狙った官僚の手口は狡猾というか、あまりにもセコイ。
そんな官僚の抵抗に、蓮舫大臣は15日から始まる「再仕分け」で対抗するというが、骨抜き事業の予算規模は計約1・5兆円にも及ぶ。たった4日間の日程で、どこまで切り込めるのか。成果は危ぶまれている。

「そもそも、仕分け作業に法的権限はありません。それでも、菅首相や蓮舫大臣に『仕分けの結果は必ず予算に反映させる』という強いリーダーシップがあれば、官僚側も従わざるを得ない。それなのに、行政刷新会議に法的根拠を与える『政治主導確立法案』は、衆院で継続審議のまま、棚上げ状態。仕分け作業に強い権限を与えるため、菅首相や蓮舫大臣が法案成立に向け本気で動いたフシもない。求心力を失った政権に期待するだけ酷な話です」(政策研究大学院大学客員准教授・原英史氏)

◆法的な権限なき再仕分けで続く不毛な「イタチごっこ」

法的権限なしに再仕分けを行っても、官僚側は予算を復活させるだけ。いつまで蓮舫大臣は不毛なイタチごっこを続ける気なのか。とことん、官僚にナメられたものだ。
「ばかげたことに、蓮舫大臣は仕分けに反した事業のうち、60事業は即時改善を求める『勧告』だけで済ませてしまった。官僚側が最も嫌がるのは、仕分けと称して公開の場で説明を聞かれること。“お白州送り”抜きとなれば、仕分けに反した事業の担当者を喜ばせるだけです。しかも、蓮舫大臣自ら、勧告の実効性に『強制力はない』と認めているのだから、どうしようもありません」(原英史氏=前出)

もはや、仕分けそのものが「ムダな事業」に成り下がっている。蓮舫大臣こそ、カネ返せ!



※日刊ゲンダイはケータイで月315円で読める。
この貴重な媒体を応援しよう!
http://gendai.net/