●尖閣流出映像は海保大保存データ 保安官、聴取に認める
(朝日新聞 2010年11月13日3時1分) http://p.tl/2bll


 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突の様子を撮影し、流出したビデオ映像が、海上保安庁の幹部候補養成機関・海上保安大学校(広島県呉市)のコンピューターの共有フォルダーに保存され、多くの海保職員が一時期見られる状態だったことが、警視庁と東京地検の調べで分かった。「自分が流出させた」と名乗り出た神戸海上保安部の男性海上保安官(43)は事情聴取に対し、流出映像は元々、海保大のフォルダーにあったデータだと認めているという。

 9月7日に衝突した際の様子を石垣海上保安部(沖縄県石垣市)が撮影・編集した映像は、第11管区海保本部、海保本庁に流れていた。捜査関係者によると、その映像が9月中旬ごろには海保大の共有フォルダーに入れられ、全国の海保庁舎から入手できた可能性がある。10月18日に馬淵澄夫国土交通相が情報管理の徹底を指示した後、映像は見られなくなったという。

 保安官は、3日間続いた捜査当局による事情聴取で、乗り組んでいた巡視艇「うらなみ」の共用パソコンから海保大の映像データを引き出したと明かした。入手の時期については「9月下旬から10月中旬ごろの間」と説明。捜査当局がこのパソコンを調べたところ、データが引き出された形跡を確認したという。

 捜査当局は、海保大のデータが巡視艇のパソコンに移された詳しい経緯を捜査。また、どの程度の海保職員が閲覧できたのかなどの「機密性」の解明が、流出させた行為の悪質さの程度を判断するために重要とみて調べている。

捜査関係者によると、保安官の説明では、映像データを「うらなみ」のパソコンから外付けの記憶媒体である公用のUSBメモリーに移したうえ、職場のパソコンに入れ直して私物のメモリーに記録。今月4日夜、神戸市中央区のインターネットカフェのパソコンを使って動画サイト「ユーチューブ」に投稿した。「動画投稿に向けて、事前に自宅のパソコンを使って映像を分割する練習をした」という。投稿した後、「私物のメモリーは、ネットカフェから自宅に帰る途中に壊して捨てた」といい、翌5日朝にネットで騒ぎになっているのを確かめたうえで、自宅のパソコンから投稿映像を削除した、と語っているという。




●尖閣映像「海保大PCに接続、入手」…航海士
(読売新聞 2010年11月13日03時02分) http://p.tl/TAsE


 尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像流出事件で、神戸海上保安部所属の巡視艇「うらなみ」主任航海士の男性海上保安官(43)が警視庁と東京地検の調べに対し、「船内のパソコンから海上保安大学校(広島県呉市)のパソコンに接続し、映像を取り込んだ」と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。


 警視庁と東京地検は12日も主任航海士を国家公務員法(守秘義務)違反容疑で取り調べたが、午後6時過ぎに打ち切った。13日以降も続けられる予定。逮捕の必要性についての判断は持ち越され、週明けに協議して最終判断するとみられる。

 判断が持ち越された背景には、13日から横浜市で開かれ、中国の胡錦濤国家主席も出席するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への配慮もあったとみられる。

 捜査関係者によると、主任航海士は、問題の映像の入手・流出ルートについて詳細に供述しているという。

 それによると、9月中旬、「うらなみ」の船内にある共用パソコンで海上保安大学校のパソコンに接続し、共有フォルダーから問題の映像をダウンロードした。これを公用のUSBメモリーに保存し、第5管区海上保安本部(神戸市)の公用パソコンに取り込んだ。

 その後、私用のUSBメモリーに移して神戸市中央区の漫画喫茶に持ち込み、動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿した。警視庁幹部によると、主任航海士には海上保安大学校のパソコンへのアクセス権限があったという。

 海上保安大学校は職員への教育のほか、海保の業務に関する調査なども行っており、海保関係者によると、映像は調査研究用に海上保安大学校のパソコンに送られていた可能性があるという。