柳田法相 今ごろ辞任の阿呆らしさ  (日刊ゲンダイ 2010/11/22)

何やってんのか 民主党の田舎芝居

“問責決議案が可決されても辞めない”と開き直っていた柳田無能法相が、ついに観念した。21日には、記者たちを前に「今後とも真摯(しんし)に国会答弁を行いながら、頑張っていきたい」と続投宣言をしてみせたのだが、党内外から高まる辞任圧力に抗しきれなかった。

◆後任は仙谷長官が兼務

きょう(22日)午前8時に官邸に入った柳田は、菅・仙谷と会談。辞意を伝えたもようだ。待ち構えていた記者団に対し、柳田は「後で」と答えるにとどめたが、9月に発足した菅改造内閣で初の閣僚辞任。支持率低迷に悩む菅内閣にとって大打撃になるのは間違いない。しかも、柳田の後任は仙谷が兼務するというから笑ってしまう。内閣の迷走を招いた張本人がしゃしゃり出てくるなんて悪い冗談としか思えない。
それにしてもお粗末だったのが、柳田の進退をめぐる政府・民主党の対応である。補正予算の審議拒否をちらつかせ、問責決議案で脅しをかける自民党などの野党に対し、柳田をかばってみたり、突き放してみたり。菅首相は、失格閣僚の更迭ですらリーダーシップを発揮できなかったのだから、どうしようもない。
この間、官邸と党は連日、右往左往の醜態をさらけ出していた。
「当然、頑張っていただかないといけない」(19日午前・仙谷官房長官)「深く反省し、今後誠心誠意頑張りたいと言っているので頑張ってもらいたい」(19日夜・菅首相)
仙谷や菅は何とか更迭を避けようとしたが、一方で岡田幹事長は柳田の辞任をにおわせる。
「発言が適切でなかったのは事実。問責に値する問題なのかどうか、さまざまな意見があり、現在党で議論している」(21日午前)


アホ大臣の処遇をめぐって官邸と党は混乱するばかり。柳田本人も辞任するとかしないとか二転三転で、もうグチャグチャだったのだ。
こんなことになったのは、保身最優先の菅や仙谷にはまっとうな状況判断ができなかったからだ。
「自民党など野党は22日夕方に問責決議案を参院に提出する方針を固めていた。そうなれば、24日の採決では野党の賛成多数で可決・成立するのは確実だった。問責可決後の辞任では追い込まれた形になる。普通の感覚なら、問責の提出前に自主的に辞めるか、罷免でしょう。補正成立を理由にするとか、いくらでも方法はある。それなのに官邸は、問責後の野党の対応を読みきれず、ズルズルとこの問題を引っ張ったのです。21日夜には仙谷・岡田・輿石参院議員会長らが急きょ、総理公邸で対応を協議したが、結論は出せなかった。柳田の続投宣言にしても、時間稼ぎのために官邸サイドが言わせたフシがある。最初から流れは決まっているのに、臭い芝居ですよ」(政界関係者)
すでに「国会軽視発言」から1週間。もっと早く手を打っておけば、ここまでの騒ぎにはならなかったはずだ。政治評論家の浅川博忠氏も呆れて言う。
「今回も菅首相の優柔不断さが露呈されました。どのみち最終的には辞めさせるのだから、もっと早い段階で収拾をはかるべきでした。仙谷・馬淵両氏へのドミノ警戒で柳田氏をかばったのでしょうが、後手後手対応のリスクをまるで分かっていない。いたずらに問題を大きくさせたことで、党内の不満が高まった。内閣支持率もさらに下がるでしょう」
官邸は完全に機能不全に陥っている。民主党はこんな内閣をとっとと退陣させ、次のリーダーの下で出直すしかない。




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