尖閣ビデオで忘れ去られた警視庁公安部・機密情報流出事件 オバマに謝罪で事件に幕引き?


(日刊ゲンダイ 2010/11/22)

APEC期間中に警察幹部が面会の怪情報

尖閣ビデオ流出で、すっかり吹っ飛んでしまった警視庁公安部のテロ関連情報流出事件。大失態の追及をまぬがれて、警察幹部は今ごろ胸をなで下ろしていることだろう。だが、このままウヤムヤに終わらせていいはずがない。なにしろFBIの捜査資料や在日米軍の爆発物処理研修、米空軍特別捜査局(OSI)の機密情報まで流出してしまったのである。これは公務員法違反どころか、国の安全保障に関わる大問題なのだ。
「米国側はカンカンでした。実は、APECで来日したオバマ大統領に警察幹部が極秘で面会。14日に直接会って、謝罪しています。その場では、なんとか許してもらえたようですが、いったん失墜した信頼を回復するのは容易ではない。さすがに米国からの情報提供は、今まで通りというワケにいかないでしょう」(警視庁関係者)
ゴメンで済めば警察は要らないのだ。機密情報を簡単に流出させる国と思われたら、重要な情報が入ってこなくなるのは当然である。
警視庁は今も流出資料が“本物”だとは認めていないが、流出した内部資料は114点に及び、紙に印刷すれば1000ページ近くになる膨大な量だ。ウィニーなどのファイル共有ソフトを通じて流出文書を入手した人は、すでに世界11カ国・5000人以上に上るとみられる。いったん流出すれば、後はウィニーなどを介さなくても掲示板やブログに転載され、ネット上で無限に拡散していく。実際にはトップシークレットが何万人、何十万人の目に触れたはずだ。
尖閣ビデオより、よほど重大で深刻な流出事件なのに、当局は捜査に及び腰。このまま放置して、第2、第3の機密漏洩事件が起きたら、どうするつもりなのか。
「尖閣ビデオ流出犯の逮捕が見送られたことは、当局にとっても朗報でした。逮捕すれば、“じゃあ、警視庁の流出犯はどうするんだ”と、自分たちに返ってきてしまう。警察の上層部としては、米国側に謝罪したことで一応のケリをつけたつもりでいる。後は、事件が忘れ去られるのをひたすら待つのみという心境だと思います」(前出の警視庁関係者)
米国に謝ったからOKなんて、一体どこの国の警察なのか。本来ならトップのクビがいくつ飛んでもおかしくない大失態である。こんな幕引きは断じて許されない。




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