民主も自民も全く同じだった これは小沢抹殺の当然の結果だ

(日刊ゲンダイ 2010/11/22)

仙谷や菅のバックに闇の勢力が存在していると思える民主党の変貌

―政権交代に夢を託した素朴な庶民の深刻な痛恨と反省

―国と国民のためではなく私利私欲のために国会議員を名乗っている税金ドロボーたちに国民の怒りは頂点に達している

ようやく決着した柳田法相の辞任問題だが、何から何までウンザリだった。

閣僚の資格も資質もないような無能大臣が舌禍事件を起こし、辞めるの辞めないので、何日間も大騒ぎ。自民党政権の末期に何度も見せつけられた光景が民主党政権でもビデオ録画よろしく、繰り返されたのである。
そもそも、こんなバカしかいなかった民主党にガッカリだし、なぜ、とっととクビを切らなかったのか。そうすれば、少しは自民党政権との「違い」も印象付けられたのに、往生際の悪さまで自民党とソックリだ。
柳田を辞めさせると、次は馬淵国交相だ、仙谷官房長官だ、と辞任ドミノになってしまう。それでドタバタやっていたのだろうが、国民からすれば「勝手にすれば?」だ。自分たちの保身に汲々としている大バカ政権を見ていると、心底情けなくなってくるのである。
政権交代時に掲げた壮大な理想はどうした? 政治主導を実現すべく、大臣には清新な逸材を起用し、政治をガラリと変えるはずではなかったのか?
民主党の期待はずれ、裏切りは犯罪的だ。政治ジャーナリストの野上忠興氏が言う。
「しっかりとした意思を持ち、改革に情熱を傾けている政権であれば、高い支持率を誇り、こうした問題が起こってもスパッと判断をして、ズルズルと後に引かないものです。ところが、支持率が下がり、迷走している菅政権は問題大臣の首すら切れずに右往左往し、これがまた国民の失望を招いた。負の連鎖で国民の怒りを買っているのですから、どうしようもありませんね」



◆小沢排除の裏で蠢くヤツら

新政権に希望を託した国民は怒りと絶望、悔恨と反省の毎日なのだが、民主党政権がかくも堕落した理由はハッキリしている。
小沢一郎を排除したからだが、これは党内最大の実力者を切り捨て、そのグループ200人を敵に回したために人材が払底したという意味だけではない。
小沢を排除した菅や仙谷の裏には誰がいるのか。小沢を切って得するのは誰か。こうしたことを考えていくと、今の民主党政権の本当の姿が浮かび上がってくる。
もはや、民主党の看板はダミーじゃないか。ひと皮めくれば、米国に盲目的に追随して、国と国民を売った自民党政権が形を変えて蠢(うごめ)いているように見える。
民主党は自民党の末期政権に似てきたのではなく、自民党そのものに変容しつつある。それがあからさまになってきたのである。



◆小沢切りは中国を警戒する米国の謀略だったのか

きのう(21日)の読売新聞には「日米が対中新戦略」という記事が出た。最近になって、周囲を盛んに刺激するようになった中国に対して、日米がどう共同で対処するか。それを詰めて、来春の日米共同声明に盛り込むという。
横浜のAPECの際に行われた日米首脳会談でオバマ大統領が提案、菅が同意し、12月にも局長級協議が始まるというのだが、こうした話が進んでいるのであれば菅と米国が小沢を目の敵にする理由がストンと落ちる。
小沢は日中国交正常化を成し遂げた田中角栄の秘蔵っ子だ。昨年末は民主党所属の国会議員140人を含む640人の訪中団を引きつれ、北京を訪問。胡錦濤国家主席と会談した。習近平国家副主席とも近く、今や、中国がもっとも頼りにしている政治家なのだが、米国はそれが面白くない。普天間移設が暗礁に乗り上げるさなか、大々的な訪中を断行、米国を刺激した小沢には、「米国内で警戒論が噴出した」(シンクタンク関係者)とされる。
そうしたら、年明け、東アジア重視を掲げていた鳩山の故人献金醜聞が炸裂し、小沢の元秘書だった国会議員が逮捕され、ダブル辞任→菅政権の誕生→小沢排除と突き進んだわけだ。
米国の謀略とは言わないが、CIAは対日秘密工作の過去がある。CIAが佐藤栄作の要望で自民党の選挙資金を出してきたことは有名だ。「秘密のファイル CIAの対日工作」の著者でジャーナリストの春名幹男氏に聞いてみた。
「米国だって、日本の政権に小沢を切れ、とは言わないでしょう。しかし、今年4月に行われた核安全保障サミットを見て、鳩山政権は『持たない』と直感しました。オバマ大統領との首脳会談が実現するどころか、晩餐会の途中の非公式会談になったからです。米国はあからさまでしたね」



◆米国ベッタリの菅は4月前に辞めさせろ

米国が露骨な鳩山・小沢切りに動いていたのは事実で、そうしたら、米国のポチのような菅政権が出てきたのである。これは露骨だ。元レバノン大使の天木直人氏はこう言った。
「菅政権の米国スリ寄りは自民党時代よりも目に余ります。普天間移設問題でも、米海兵隊はグアムに移転するのに、その移転費用だけでなく、新しい飛行場を辺野古に造らされるわけです。TPPも押し付けられ、農業だけでなく、もう一度、郵便局を開放しろと言われますよ。小泉政権のアンチテーゼで民主党政権が生まれたのに、小泉政権時代に逆戻りするのではないか。それくらい菅政権は米国に何も言えなくなっている。来年4月に日米首脳会談が予定されていますが、菅首相がノコノコ出ていけば、何を約束してくるかわからない。4月までに辞めさせなければ、国益を損なうと思います」
これが民主党政権の現状、正体なのである。まさしく自民党亜流、猿真似政権なのだが、菅が滑稽で情けないのは、必死で米国にすがっているのに、政権は安定するどころか、追い詰められていることだ。米国はそれをシメシメと見ている。日本なんて、対中戦略の地理的拠点くらいにしか見ていない米国は、日本の政権が安定せず、米国の言いなりでカネと基地さえ提供すれば、それでいいのだ。そのためには菅みたいな無能首相がうってつけなのである。

こんな調子でマヌケ首相が米の属国化路線を突き進めば、骨までしゃぶられ、沈み行く米国と共倒れになってしまう。だから、国民はチェンジを選択し、小沢は「見直し」で動いたのに、身内の民主党が潰しているのだから世話はない。そこにどんな謀略があったのか。民主党政権に期待し、裏切られた国民には「知る権利」がある。



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