内部告発サイト「ウィキリークス」でバレた 自民よりヒドイ!菅政権


(日刊ゲンダイ2010/12/1)
ロコツな対米従属外交


◆米国が武器輸出“解禁”を日本に要請

内部告発サイト「ウィキリークス」に米政府の機密文書25万点以上が流出した問題で、菅政権がピリピリしている。前原外相が「言語道断。勝手に公開するのは犯罪行為だ」と非難し、北沢防衛相も「影響を検討しなければ」と深刻顔だ。
そりゃそうだろう。流出した情報は日本関係だけで6700点。その中には、米政府から民主党政権への“対日圧力”ともとれる要請文書が存在した。きのう(30日)流出が発覚したのは、米ヒラリー国務長官が日本など関係国の大使館にあてた「シークレット」扱いの電報だ。文書の日付は民主党政権が発足した翌日の昨年9月17日で、日米共同開発中の弾道迎撃ミサイルについて、欧州への輸出解禁を日本に求める内容が含まれていた。「日本の決断に協力したい」と言葉は丁寧だが、早い話が脅しである。
折しも、民主党は外交・安全保障調査会で「武器輸出3原則」見直しの提言をまとめ、菅首相も安保会議で「国会審議に耐えられるものにしてくれ」と了承したばかり。永田町では「民主党政権が3原則の見直し議論を加速させたのは、アメリカの圧力に屈したのが原因じゃないか」と大騒ぎになっている。
外交・安全保障調査会会長の中川正春衆院議員は「自民党時代から議論されている問題で、民主党政権になってスピードアップしたわけではない。それに、米国の要請は政府に対するものであり、党へのものではない」と否定したが、菅政権の米国へのスリ寄りはロコツだ。

北沢大臣はゲーツ米国防長官と会談した10月、輸出3原則の見直しについて「年末にまとめる防衛大綱でぜひ見直したい」と確約ともとれる発言をした。仙谷官房長官も「議論はこれからだ」と前向きだった。それからわずか1カ月余りで、トントン拍子に見直しが決まりそうな展開なのだ。
元外交官で評論家の天木直人氏が言う。
「はっきり言って菅政権の対米従属外交は、自民党時代よりもヒドくなっています。民主党が掲げていた『対等な日米関係』というフレーズも、菅政権になってから聞かなくなりました。米国ベッタリの前原氏が外相であることに加え、外交をまったく理解していない人物が首相ではどうしようもない。それにしても、マニフェストで国民に約束した公約はほとんど放り出しておいて、米国の要求には猛スピードで応える。この政権には呆れます」
ブッシュ前大統領のポチといわれた小泉純一郎とソックリ。さしずめ菅は“第2の小泉”か。




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