それでも解散総選挙が最前の解決策 これ以上菅内閣が続いたら国民の不幸


(日刊ゲンダイ2010/12/2)


この最悪政権を代えようとすると菅首相は解散するし、解散総選挙で民主党は惨敗して後はドロ沼となるだろう

―民主党公約は全部棄てられ旧自民党政治化し、サラリーマン大増税が強行され、支持率はドンドン落下しても政権に居座り続けて景気はますます悪くなる―政界を再編して小沢一郎を中心とする政党による新政府がいま必要
スッカラ菅政権の哀れな末路が見えてきた。大メディアの内閣支持率は20%台に急落しているが、「ニコニコ動画」のネット世論調査ではついに7%、1ケタ台に突入である。この調査は10万人超が回答していて、大マスコミの調査に比べてサンプル数は圧倒的。ある意味、“生の支持率”といえるわけで、さしもの菅もマイッタろう。

しかも、この政権は今後、どうあがいても上がり目はない。これから待ち受けているのは空き菅政権には対応不能の難題ばかりなのである。
菅は「支持率が1%になっても辞めるな」と友人から励まされたらしいが、冗談ではなく、本当に支持率が1%まで落ちかねない。

まずは今月中にまとめなきゃならない来年度予算案だ。歳出の大枠が71兆円以下、新規の国債発行額44兆円以下の縛りがある中で、菅政権は財源不足にもがいている。財務省に言われて、自分で“ワク”をはめたからだが、もがいた結果、どうなるのか。シワ寄せは庶民に押し付けるつもりなのだ。支持率7%の政権がいい度胸だ。やれるものならやってみろだ。
「問題となっているのは、基礎年金の国庫負担率です。財源がないので、現行の50%から一時的に36・5%に引き下げようと財務省は画策している。しかし国庫負担を下げると、低所得層の年金支給額が減ってしまう。所管の厚労省も反発していますが、こんなことを強行されたら暴動モノです」(民主党関係者)
税制改正の議論も大混乱だ。経産省や産業界は5%の法人税減税を要求しているが、5%の引き下げには1兆5000億円超の財源が必要。これも所得税改正で、なんて話がある。フザケタ政権だ。
それでなくても、政府は配偶者控除に所得制限を導入することを検討している。これは09年のマニフェストに書かれていたが、子ども手当とセットのはずだった。子ども手当はいまだ半額支給なのに、配偶者控除はシッカリ導入って、話が全然、違うのだ。



◆サラリーマンからふんだくる魂胆

「結局、財務省主導なんですよ。財務省にとって各種の『控除』をなくすのは悲願。既に定率減税、配偶者特別控除、老年者控除、公的年金控除など、次から次へとなくなっています。菅政権は官僚の言うがままに増税プランを出してくる。あるべき税制の理念もないまま、行き当たりばったりで、サラリーマンからふんだくろうという魂胆なのです」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
きのう(1日)開催された政府・民主党の会議でも続々と増税方針が決まっている。政府税調では、「新築住宅に対する固定資産税の減免」を12年3月末で打ち切るよう総務省が主張したというし、民主党の「税と社会保障の抜本改革調査会」は年金や医療など社会保障の安定的な財源として「消費税が非常に重要」という提言の素案をまとめた。緊縮予算のうえに、大増税の号砲が鳴ったのである。
民主党が掲げた「国民生活が第一」は、何だったのか。壮大な裏切り、詐欺ではないか。


◆日本政治史上、まれに見る大悪人

こうなると、国民の怒りが爆発するのは必至だが、そんなサギ師政権を待ち受けるのは、通常国会の大混乱だ。自民、公明など野党は、仙谷、馬淵の問責閣僚をボイコットする意向だ。2人が辞めなければ、通常国会は開会と同時に空転する。景気はますます落ち込み、支持率はさらに下がる。窮余の菅は自公にひれ伏すしかなくなり、ますます「民主党らしさ」を失っていく。
「政策コンテストで在日米軍基地の思いやり予算を最優先のA判定したように、米国に何も言えない政権になるでしょう。TPPでも分かるように、米国にすがり、言いなりになっていく。自民党政権以上に、保身のために国を売ることになると思います」(永田町事情通)
ヒドイ話だ。役人や自公、米国にすがるしかない菅政権は、どんどん国民の利益から離れていく。筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)は、「保身のために強い者にすり寄り、敵に抱きつくことしか考えていない菅首相は、日本の政治史上、まれに見る悪人です」と切り捨てたが、本当だ。こうして、国民が期待した民主党政権は、国民に見放され、ご臨終を迎えるのである。


◆窮鼠の首相が破れかぶれ解散の可能性も

さて、追い詰められた菅はどうするのか。取れる選択肢は2つだ。内閣総辞職、政権ブン投げか、破れかぶれ解散か。
こんな状況で解散したら、民主党は壊滅的に惨敗する。しかし、菅ならやるかもしれない。どうせ、落ちるのは小沢チルドレンだ。だったらやっちまえ。そんな思惑が見え隠れする。鳩山前首相や小沢元代表が「選挙かもしれない」と警戒を強めているのはそのためだ。
「菅政権が追い込まれ解散になれば、民主党は間違いなく100議席は減らします。『私も危ない』と怯えている大物議員が大勢いるし、選挙地盤が整っていない1年生議員は総崩れでしょう。しかし、自民党政権に戻るかというと、違います。有権者の自民党アレルギーはまだ強いし、300小選挙区の候補者がそろっていない。一方、みんなの党は大量に候補者を立てる準備をしている。おそらく、自民党も過半数には届かない。選挙後は大連立も含めた政界再編になるかもしれません」(政治ジャーナリスト・野上忠興氏)
これぞ、菅や仙谷、前原ら反小沢勢力の思惑で、小沢を追い出し、自民党と組みたいのである。こうなると、選挙後は大連立をめぐり、民主も自民も割れて、グチャグチャになるかもしれない。しかし、ここまで政治の液状化が進んだ以上、それもいいのではないか。
脳死状態のボンクラ政権がだらだら生き延びるくらいならば、解散・総選挙は大賛成だ。小沢チルドレンを落とすも落とさないも、有権者の選択なのである。


◆小沢主導の政界再編以外に活路なし

では、菅が総辞職した場合はどうなるか。こちらもメチャクチャになりそうだ。
民主党は国会議員だけによる代表選を行い、次を選ぶ。菅・仙谷一派は前原外相あたりをもってくるだろうし、小沢グループはやはり大将、小沢が“最後の勝負”に出てくるだろう。
原口一博前総務相や海江田万里経財相では、この難局は乗り切れないし、国民の期待は「小沢登場」なのである。政治解説者の篠原文也氏はこう言う。
「好き嫌いは別にして、小沢氏が出てきて、政治を動かす以外に、この閉塞状況を打破する道はないと思います。この代表選はどんな結果になっても政界再編になるでしょうね。小沢氏が負ければ、党を割って、自民党の一部勢力と組もうとするし、小沢氏が勝ってもねじれを解消するために自民党に手を突っ込む。そうなれば、自民は割れる。民主党も割れて、グシャグシャになる。でも、国民はそれを望んでいるのだと思いますよ。FNNの世論調査では小沢氏が首相にしたい政治家のトップになった。同じ調査で、今後の政権の枠組みを聞いたところ、トップは政界再編だったのです。国民は自民党にも民主党にも愛想を尽かしている。ガラガラポンでいいのです」
代表選後に政界再編になれば、遠からず、解散・総選挙という流れになっていく。そこで雌雄を決することになる。政治は当分、大混乱するのだろうが、それはそれでしょうがない。
このまま菅政権が続くのが国民の最大の不幸なのだ。国民は我慢するしかないのである。





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