●ネット接続記録を押収=APEC直前業務妨害容疑-テロ情報流出・警視庁
(時事通信 2010/12/04-00:59) http://p.tl/1ksa


 警視庁公安部外事3課の内部資料とみられる国際テロの捜査情報がインターネット上に流出した問題で、警視庁は3日、偽計業務妨害容疑で、容疑者不詳のまま、差し押さえ令状に基づき、国内のプロバイダー2社から契約者情報と接続記録を押収した。
 任意での協力が得られず、警視庁は「発信源」の特定には限界があると判断し、強制捜査に踏み切った。今後も必要に応じて差し押さえ手続きをする。
 差し押さえ容疑によると、容疑者は10月下旬、レンタルサーバーなどを発信元や経由地として、テロ関連資料114件をファイル交換ソフト「ウィニー」上に公開して不特定多数が閲覧できる状態にし、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の直前に外事3課員らに調査させ、業務を妨害した疑い。
 同庁によると、同月下旬のウィニーやウェブサイトの接続記録などについて、国内外のプロバイダー数十社に任意提出を要請。多数の社から提供を受けたが、一部からは個人情報の保護を理由に差し押さえ令状がなければ応じられないと回答があったという。



●テロ資料流出:警視庁が強制捜査に乗り出す 差し押さえも
(毎日新聞 2010年12月3日21時33分) http://p.tl/WoBK


 警視庁などの国際テロに関する内部資料とみられる文書がインターネット上に流出した問題で、警視庁公安総務課は3日、容疑者不詳のまま、データが経由した可能性がある国内のプロバイダー会社2社について、偽計業務妨害容疑で契約者情報と接続記録を差し押さえた。警視庁は「内部資料かどうかは調査中」との立場は崩していないが、任意調査では限界があるとして、強制捜査に乗り出した。

 差し押さえ容疑は、情報を流出させた何者かは10月下旬、レンタルサーバーなどを通じて114の文書をファイル共有ソフト「ウィニー」を通じて不特定多数の人が閲覧できる状態にし、11月に開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議直前に警視庁公安部外事3課員などに文書流出調査に従事させ、本来の業務を妨害したとしている。

 警視庁は10月29日夜、流出を把握。内部から流出した可能性を含めて調査を始め、ウィニー上で判明したIPアドレスから発信者をたどろうとしてきた。ほぼ同時期に複数のファイルが、ルクセンブルクのサーバーを経由したことが分かっているが、発信元や流通経路は特定できておらず、経由した可能性があるプロバイダー会社数十社に対して特定の時期の契約者情報や接続記録などの任意提出を求めていた。

 しかし、一部のプロバイダーは「個人情報」として、任意提出を拒んでおり、警視庁は「今後も必要に応じて差し押さえを行う」としている。

 ◇強制捜査、世論への配慮背景に
 警視庁が内部調査から強制捜査に切り替えた背景には、プライバシー情報の拡散を止められない現状に反発する世論への配慮があるとみられる。真相解明への警察の「本気度」をアピールし、問題を放置しない姿勢を強調する狙いがうかがえるが、流出文書が警察資料と認めないままの方針転換に理解が得られるかは不透明だ。

 問題の発覚から1カ月以上が経過し、世界22カ国・地域で1万人以上が文書を入手するなど、情報の拡散が進んでいる。警視庁は内部からの意図的流出の可能性が高いとみているが、断定には至っておらず、11月下旬には出版社が個人情報を含めた全データをそのまま掲載した本を発売。東京地裁は出版差し止めの仮処分決定を出したが、出版社側は改訂版を出す方針だ。

 警視庁には文書に名前を出された人からの相談も寄せられているといい、「文書の真偽をはっきりさせるべきだ」と任意調査での限界を指摘する声が出ていた。