改革ヤル気ナシ 来春、検事総長交代の「出来レース」

(日刊ゲンダイ2010/12/6)

後任は冤罪、ヤラセ疑惑の検事長
やはり自浄能力を期待してもムダだった。事件デッチ上げ、証拠改ざんなど問題続出の検察のことである。この組織は、前代未聞の不祥事にもかかわらず、責任を追及する世論を一切無視し、トップの大林宏検事総長は居座ったまま。驚くことに、次期総長人事でも、おかしな人選を進めているというのだ。
「不祥事をキッカケに設置された『検察の在り方検討会議』が検討結果をまとめる来春のタイミングを見計らって、大林宏検事総長が交代する案が浮上しています。後任には、小津博司・札幌高検検事長(61)が有力視されています」(司法ジャーナリスト)
検事総長の任期は慣例でおおむね2年程度。しかも、次期総長の前職は代々、東京高検検事長で、通常なら今の笠間治雄氏だ。人事案が本当なら「体制刷新」のように見えるが、コトはそう簡単じゃない。
「笠間さんは今年6月の東京高検検事長の就任会見で『検察の仕事はあくまで法と証拠に基づく。よい情報に基づき、逮捕される側にも仕方がないと思わせるような独自捜査を目標としたい』とあいさつし、東京や大阪地検特捜部の“暴走”をやんわり批判した常識人です。そんな人が総長になれば国民も万々歳だが、来年は63歳で定年を迎えるからムリ。ま、もともと歴代総長は赤レンガ組出身の東大官僚が主流。中大卒の笠間さんは“条件”に合わない。笠間さんは世間の批判をかわすための“当て馬”でした」(前出のジャーナリスト)
しかも、ポスト総長は評判が良くないのだ。
「小津さんは東大法学部卒で、74年に検事任官。法務省刑事局長や法務事務次官などを歴任し、早くから『総長候補』と目されてきた人物。しかし、現場経験が浅く、東京地検刑事部時代に作った供述調書はズサン過ぎて当時の上司がア然としたと聞く。他にも佐賀地検検事正で手掛けた北方事件は冤罪、06年の刑事局長時代に行われたタウンミーティングではヤラセ質問が発覚して厳重注意処分になっています」(事情通)
民間企業なら全くあり得ない人事である。




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