なんで首脳会見を仕切る広報官が官房機密費の“金庫番”なんだ

(日刊ゲンダイ2010/12/9)

大マスコミの質問がユル~いのと関係あるのか

ニヤついた顔で「内外ともに実り多いものだった」と自画自賛のオンパレードだった6日の菅首相会見。言いたいことを一方的に主張している海老蔵会見とソックリだった。
会見後の質問も、メディアから厳しい追及はナシ。辛うじて終了間際に「この政権は一体、何をしたいのか」との質問が出た程度だ。まっ、“御用記者”が陣取る会見では見慣れた光景だが、首相会見には雑誌記者やフリーランスも出席。にもかかわらず、なぜこんなユル~い雰囲気だったのか。
「会見の仕切り役を務めた千代幹也・内閣広報官(58=顔写真)の存在が大きいでしょう。千代広報官は、前列に並んだテレビ、新聞の記者を『○○さん』と順番に指名する一方、雑誌記者やフリーの記者が挙手しても、ほとんど無視。鋭い質問なんて出るワケありませんよ」(官邸事情通)
こりゃあ驚いた。千代広報官といえば、安倍晋三官房長官時代から7人の長官を補佐し、政府の裏金「官房機密費」に携わってきた「金庫番」だ。もともとは東大法卒で、旧運輸省航空局の監理官から内閣官房内閣審議官に“栄転”した人だが、今年8月には機密費をめぐる裁判に初の現役官僚として出廷し、注目を集めた。それが今や総理会見の仕切り役になっていたのだ。

「民主党は野党時代、『官房機密費』の公開を求めていたのに、菅政権になるや、その全容を知る“キーマン”を内閣広報官に抜擢し、首相会見まで仕切らせるとはマンガです。しかも、菅政権になってから、機密費の支出額は鳩山政権当時と比べて毎月4000万円増の1億円になった。過去の機密費は大マスコミ記者にも配られたと報じられているから、全てを知る千代氏が広報官になったとなれば、テレビや新聞の記者が鋭い質問をぶつけられないのも分かります」(雑誌記者)

菅の顔に緊張感がなく、変に余裕タップリだったのもうなずけるのだ。




※日刊ゲンダイはケータイで月315円で読める。
この貴重な媒体を応援しよう!
http://gendai.net/