何がケジメだ!大林検事総長のシタタカ辞任

(日刊ゲンダイ2010/12/17)


◆最高のタイミングで逃げ切りの打算
大林宏検事総長(63)が年内にも辞任する意向を固めた。大マスコミは「検事総長の引責辞任は異例」なんて騒いでいるが、冗談じゃない。
最高検は、郵便不正事件などの検証結果を24日に公表する。大林氏の正式辞任は27日。しかし、検証結果が出た後では、責任論が続出する。辞めるのは当たり前として、辞任ではなく、「クビにしろ」という声が出るだろう。だから、マスコミリークという形で前倒しで“辞任表明”したのである。伊藤鉄男最高検次長検事(62)も辞任するが、2人ともまんまと退職金をせしめるのである。フザケた話だ。
「2人とも天下り先は引く手あまたでしょう。樋渡利秋前検事総長は都内の法律事務所に行った。過去の検事総長の天下り先を見れば、トヨタ自動車や損保ジャパン、住友商事など、1部上場企業の取締役、監査役に就いている。検事総長クラスが天下り先を確保しないで辞めるとは考えにくい。この時期なら受け入れ側も新年度の役員人事の調整がしやすい。うまいタイミングで辞めたものだと思いました」(司法ジャーナリスト)
元大阪高検公安部長の三井環氏は、別の角度から苦言を呈した。
「検事総長が交代しても、単に頭をすげかえるだけで組織は何も変わりません。そもそも最高検の検証作業にしても、身内が身内を調べているのだから、どこまで膿(うみ)を出せるのか。郵便不正事件をきっかけに、取り調べの可視化の議論も活発化していますが、私は怪しいと思っている。一部の可視化ならやらない方がマシ。検察に都合がいい部分だけを使われるだけです」
検事総長の辞任をもって検察のケジメなんて、ゆめゆめ思わない方がいい。




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