内部留保なんかクソクラエ! 民間企業現預金205兆円こうやって使え

(日刊ゲンダイ2010/12/18)

◆給料アップ、雇用、地方活性化で消費の促進を図るべき
冬のボーナスが出て、家計やオトーサンの財布はホッと一息だ。経団連のまとめによると、冬季ボーナスの平均支給額は前年比2・52%増の77万4654円。とはいえ、鉄鋼や機械金属、車両など前年より減ってしまった業種もある。
サラリーマン不遇の時代は続いているのだ。ところが、会社そのものはそうでもなかった。日銀が17日に公表した資金循環統計(速報値)で、民間企業の「現金・預金」(9月末)の総額が前年同期比5%増の205兆9722億円に上っていることが分かったのだ。何と過去最高である。
庶民がヒーヒー言っているのに、企業は巨額の内部留保をため込む。おかしいだろう。
「企業が知恵を絞った結果が、現金の積み上げだったわけです。言い換えれば、企業には成長の見込めない日本に資金を投入することにためらいがあるのです」(第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミスト)
だからといって200兆円もの大金を、ただ眠らせていてはもったいない。家計に回すべきじゃないか。
「法人税減税でも分かるように、政府は企業に設備投資を促しています。でも、今の日本で設備を増強してもモノは売れません。だから家計を支援し、消費意欲を高めることが重要です。消費が増えれば、企業の売り上げも伸びます。そうなれば自然と設備投資への意欲も湧いてくるでしょう。だから内部留保をある程度吐き出し、給与や雇用に回すべきでしょう」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏)
こんな使い道だってある。
「大企業は人件費カットや資材調達費カットで業績を回復させました。ただその分、地方の中小企業にシワ寄せが及んでいます。内部留保の使い道に困っているのだったら、地方活性化に使えばいい。新工場を建設するとか、老朽化した設備を新しくするなどいくらでも方法はあります。地方の雇用確保につながれば、日本経済の下支えになるはずです」(東京商工リサーチの友田信男上席部長)
使い道はいくらでもあるのだ。ため込むばかりでなく、景気回復のために今こそ社会還元すべきである。


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