みんながビンボー 2011年は平等不幸社会になる

(日刊ゲンダイ2010/12/21)

とてつもないアホがいた。菅首相が「格差是正」の理屈で増税するという。確かにみんながビンボーになれば、格差はなくなる。ただ、みんなを平等に不幸にしてどうするのよ?


◆平均収入33万円減
会社員のAさん(57)は、頭を悩ましている。国立大に通う長男(23)が来年3月に卒業するが、就職先が決まらず、自宅住まいで就活をする。
しかし、年収568万円以上の世帯は、成年扶養控除(左下「注目ワード」参照)が廃止。そのため、年収800万円のAさんは、年11万円の増税だ。無職者を抱える家庭で月9000円の出費は痛い。
来年1月から年少扶養控除(15歳以下の子)も廃止。第一生命経済研究所の試算によると、専業主婦と小学生の子供1人を持つサラリーマンは、年収800万円でマイナス1万3000円、年収1600万円でマイナス2万4000円。これが分かっていたら、子ども手当はいらなかった。
経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
「児童手当をもらっていた家庭(子3人で年収約680万円まで)も、第3子以降の手取りはマイナスになります。子だくさんは損をするという、少子化対策に逆行したことが起きています」
Bさん(38)は、年収1300万円の商社マンだ。菅内閣が想定する「富裕層」に当たるが、帰宅は常に夜の11時半。
「年収1300万円は本当に富裕層と呼べるのでしょうか?」とBさん。
国税庁によると、09年の民間給与は、前年比で33万円(男性)も減ってしまった。その上、来年10月からは環境税(地球温暖化対策税)も加わる。標準世帯の電気代は月30円の値上がりで、円高メリットで1月から下がる電気代(最大44円=東京電力)が元のもくあみに。菅が言う「最小不幸社会」は、少しずつみんながビンボーになるのだ。


◆私立中高で値上げラッシュ
公立高の授業料無償化に伴い、私立高にも就学支援金(最高24万円)が出ている。途端に都内の私立校は値上げラッシュだから何のコッチャだ。
今年度は、早大学院が初年度納入金を15万2000円も値上げしたが、来年度は聖パウロ学園の11万円を筆頭に24校が値上げを実施する。
また、私立中の名門、麻布中も4万2000円の値上げだ。もっとも、偏差値73(首都圏模試センター)だから、学費よりわが子の学力の方に心配がある。玉川学園中は偏差値40台から通えるが、初年度の学費は、日本一高い182万8000円だ。
一方、値下げはどうか。下関市役所の地下食堂「おおいし」が、名物「くじらカツカレー」を300円(通常550円)に値下げする。
「鯨が貴重なので、来年3月まで、毎月9日限定のサービスです」(食堂担当者)
シー・シェパードにも食べに来てほしい?
五反田のヘルス「サンキュー」は、文字通りプレー代30分3900円の激安価格だ。
東京都も大安売り。臨海副都心に広がる広大な都有地を7~8%値下げし、来年1月に公募にかける。
「有明南のG1区画は、1万1159平方メートルで最低落札価格99億5369万円(前回は約108億円)です。単純に金額の高さでなく、緑化計画や町づくりへの貢献などを総合的に評価し、売却先を選定します」(都港湾局臨海開発部)
とはいえ、過去の公募では入札ゼロが続出。臨海地区には、他にも52万平方メートルの空き地が残っているので、そんな強気で大丈夫だろうか。




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