前原 クリントンに突きつけられていた難題

(日刊ゲンダイ2010/12/21)


◆米国人の救出が目的?
韓国軍がきのう(20日)、延坪島で射撃訓練を強行し、朝鮮半島の緊張が再び高まっている。いまのところ、訓練実施なら「第2、第3の自衛的打撃を加える」と警告してきた北朝鮮は静観。先月のような衝突は起きていないが、半島炎上の危険性は回避されていない。そんなドサクサに紛れて、米国が日本に無理難題を突き付けていたことが明らかになった。
「2週間前の日米外相会談で、クリントン国務長官が前原外相に、朝鮮半島有事の際は、韓国軍も在日米軍基地を自由に使えるのが望ましいと切り出していたのです。基地の使用制限を取り払えという脅しです。さらに、集団的自衛権の行使を禁じている日本の憲法が、米軍の作戦の足かせにならないよう求めたと聞いています」(米政府事情通)
軍事ジャーナリストの田岡俊次氏は「韓国軍には、当然、日米安保条約が適用されないし、国連軍の一部でもないから、日本国内にある基地は使用できない」と断言する。それでも、米国はお構いなしだ。
「米国は韓国軍の輸送機を使った在韓米国人救出を想定していると考えられます。これだけなら日本の基地も人道支援を理由に受け入れられるでしょうが、帰りの輸送機はカラッポで飛びません。武器弾薬や燃料、食料を持ち帰ることになる。それが日本の法律に引っかかるのなら、いまのうちに調整しておけということです。戦争が激化すれば、在韓基地は使えなくなる。韓国軍の戦闘機を一時避難させる場所としても使いたいのでしょう」(事情通)
韓国から戦闘機まで飛んでくるようになれば、日本は確実に戦争に巻き込まれる。ノドンやテポドンがぶっ放されれば、ひとたまりもない。基地がある都市だけではなく、東京や大阪も、破れかぶれの攻撃を受けて火の海になる危険性があるのだ。
「菅政権には韓国にいる日本人を救出するシナリオもありません。自衛隊の派遣を協議すると言ってみたもののあっさり韓国側に否定されてお手上げです。そんな状態で米国人の救出には協力するのなら、だれのための政府なのか分からなくなります」(軍事ジャーナリスト・世良光弘氏)
有事が起きないよう祈るしかない。



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