仙谷 独り善がりの狂気  (日刊ゲンダイ2010/12/22)


◆小沢に対抗できるのは自分しかいないと考える大いなる錯覚とコッケイ

あり得ないことだが、ついに民主党執行部からは「小沢証人喚問」検討の声まで出てきた。そこまでして自分らの政権交代の立役者を潰したいのか。まったく狂気の沙汰だが、すべて裏で糸を引いているのは仙谷官房長官である。その“焦り”はどこからきているのか。

仙谷の「小沢憎し」はつくられたものだ。自分の存在を高めるために、小沢を利用しているにすぎない。「民主党政権の真実」の著者でもある評論家の塩田潮氏がこう言った。
「自分の立場を知らしめるには、最大権力者とケンカするのが一番。仙谷長官は小沢氏にケンカをふっかけ最高権力を手に入れた。だから、何かあると、小沢氏を“党内野党”にして、自分を正当化させるわけです」
ガラにもなく最高権力を手に入れてしまったポッと出の仙谷が、最近は自分に酔ってしまっているらしい。それがこの1、2週間の「小沢排除劇」の実相なのである。

民主党幹部が裏側を語る。「参院から問責決議を突きつけられた仙谷さんは少なくとも来年の通常国会の1週間前には辞めざるを得ない。菅総理は、仙谷さんを幹事長ポストに横すべりさせるか、官房副長官として残すことでそばにおいておきたいようですが、国会対策を考えれば、それは無理。仙谷さんは無役になるしかない。それが分かった仙谷さんは何を考えたか。小沢さんに対する抱きつき心中なのです。だれもできなかった小沢さん抹殺を自分の力でやったら、功労者になれる、歴史に名前を残せると考えたのです。最近は自分の方が小沢さんよりも格上と思っているらしく、“小沢が辞めればオレも辞める”“なぜオレだけが辞めなければいけないのか”の心境だそうです。その仙谷さんに煽られて、菅総理まで小沢排除で突っ走り始めてしまった。小沢さんを排除することがリーダーシップみたいに信じてしまっている。それで直接会談や、証人喚問の話になっているのです」

いやはや、仙谷にしろ菅にしろ、独り善がりの狂気の世界というしかない。
仙谷が永久に消えても、今後の民主党政権は続くだろう。だが、小沢が消えたら、あっという間に民主党政権は旧勢力にのみ込まれて崩壊してしまう。仙谷はそこが分かっていない。ちっぽけな「自分の器」を認識できず、大物と錯覚したところに、今日の民主党の混乱と分裂のすべての原因があるのだ。




※日刊ゲンダイはケータイで月315円で読める。
この貴重な媒体を応援しよう!
http://gendai.net/