駐口大使人事の迷走 (日刊ゲンダイ2010/12/25)

◆スッカラ菅官邸にこの大使じゃ北方領土は絶望的

河野雅治・駐ロシア大使が更迭されることになったが、改めて、その無能ぶりに驚かされる。更迭のキッカケは今年11月1日、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土電撃訪問をまったく察知できなかったこと。
「政府が河野大使を一時帰国させて事情を聴いたところ、大使は『ロシア外務省から“行かないと思う”と聞いたから』とイケシャーシャーと答えたそうです。揚げ句には、仙谷長官に『プーチン首相の意向なのか』と尋ねられると、大使は『私の専門はフランスだから、ロシアのことは分かりません』と言ったのです。これに官邸がブチ切れたのは言うまでもありません」(官邸関係者)
どうにもならない大使がいたものだが、その後任も問題だ。原田親仁駐チェコ大使の名前が挙がっているが、関係者はマユをひそめている。
原田氏はロシアスクール出身で、ロシア課長や欧州局長を歴任。北方領土交渉の実務責任者を務めたこともあり、対ロ外交では中心的人物のひとりとされる。
しかし、モスクワ時代に原田氏の下で働いた経験がある外務省元主任分析官の佐藤優氏は、きのう(24日)の東京新聞でこう“告発”していた。
「原田氏の命令に従い、大使館の公用便箋に公印を押した偽造領収書を作成し、外相に同行した記者団に配布した」
「原田氏は、ソ連時代の在ロシア日本大使館にあった闇ルーブルを扱う『ルーブル委員会』の責任者でもあった」
「ルーブル委員会」とは、大使館員が外交特権を使って免税で買った私用車を、闇レートのルーブルで売却するなどして得た差益をプールする裏金組織のことだ。国会で問題になったこともある。無能大使の後釜が裏ガネづくりの頭目とは、この役所は一体どうなっているのか。
「対ロ外交は、鈴木宗男氏と佐藤優氏の失脚によって情報収集能力が格段に落ちた。宗男排除の急先鋒だった原田氏では、駐ロ大使になっても有用な情報が得られるとは思えません」(外務省キャリア)
外交問題で失策続きの菅政権は、せめて対ロだけでも立て直したいところだろうが、こんな人事じゃ、どうしようもない。



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