“窮鼠”菅が目論んだ 与謝野入閣、仙谷・小沢「刺し違え」の幻のシナリオ

(日刊ゲンダイ2010/12/25)

窮鼠の菅政権が「たちあがれ日本」に連立を持ちかけていたことが分かり、永田町は一瞬、「大連立の布石か」と緊迫した。しかし、「たちあがれ」の園田博之幹事長は「菅首相は信頼できない。対峙が基本だ」と明言。民主党内からも「これは数合わせだ」という声が噴出している。この連立が流れれば、菅は完全に行き詰まる。たちあがれの平沼赳夫代表や与謝野馨共同代表は前のめりだが、周囲の目は冷ややかだ。

◆アッという間に潰れそう
降って湧いたような「たちあがれ」との連立話だが、菅官邸はかなり前から動いていた。
「菅首相が11月18日に与謝野さんと会った際、同党からの入閣を要請しているのです。このとき、総理の頭の中にあったのは与謝野氏の入閣。その後、仙谷官房長官の問責決議が可決したため、ますます、与謝野氏の協力を期待するようになった。与謝野氏が協力してくれれば、年明けにも内閣改造を断行。仙谷長官を一回外す。同時に小沢切りを強行する。そうすれば、通常国会の障害は一気になくなるというもくろみでした」(民主党関係者)
与謝野が入閣すれば、重要閣僚を任せられる。そのうえで、仙谷には小沢と“刺し違え”をさせる。こんな策略で、その先も虫のいい青写真を描いていた。
「衆参の国会議員が6人のたちあがれの協力だけでは、ねじれ国会は解消しない。しかし、たちあがれとの連立を“呼び水”にする計画でした。たちあがれの次は舛添要一の新党改革と連立する。そうなれば、ねじれ解消までもう一歩。自民党からもこぼれてくる。そんなシナリオを描いていたのです」(永田町事情通)
民主党が狙っているのは参院の過半数確保ではなく、衆院の3分の2を押さえることだ。たちあがれと新党改革の協力が得られれば、3分の2まであと2人。与党になりたくてしょうがない自民党議員のことだ。2人ぐらいすぐにこぼれる……と踏んだのだろうが、こんな捕らぬ狸の皮算用がうまくいくのか。これぞ、単なる野合ではないか、と思ったらやっぱりだ。


◆民主内部からも「野合」の批判が
「どうも雲行きは怪しいようです。たちあがれの中がすでに分裂含みなのです。衆参6人の国会議員がいるたちあがれは全員、閣僚か政府高官経験者。それぞれがえらくプライドが高い。与謝野さんは平沼代表の顔を立てて、最初に入閣させれば、党内がまとまると思っていたが甘かった。園田幹事長はヘソを曲げているし、そもそも、永田町の中では極右のたちあがれが、左の労組を基盤にする民主党と連立するのは無理がある。民主党内からも野合だという批判が出ているのです」(政界関係者)
怪しい雲行きを察知してか、舛添までが「ウチは独立した行動を取る」と言い出している。菅も「いろいろな方といろいろな話をしている」とトーンダウンせざるを得なくなった。 この話が流れれば、菅政権は完全にオシマイ。その結論はもうすぐ出る。




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