検察の「反省」にダマされるな!一部可視化導入で特捜部を死守するのが魂胆

(日刊ゲンダイ2010/12/27)

特捜部なくしては価値なしの組織
さすが、転んでもタダでは起きない。村木元厚労省局長の冤罪事件の検証報告書で、検察はズサンな捜査を反省。再発防止策を打ち出したが、自己批判はポーズに過ぎない。本音は全然違うのだ。
内部検証のアドバイザーを務めた安広文夫・中央大法科大学院教授は「よく問題点を指摘し、現実的で効果が期待できる対策を打ち出した」と高く評価してみせたが、悪い冗談にしか聞こえない。
「まったく、何をトボケているのか。検察は何も反省していないし、報告書の再発防止策も効果がありません。むしろ事態を悪くします」
こう言うのは、元大阪高検公安部長の三井環氏だ。再発防止の目玉は、来年2月から取り調べの一部について録音・録画(可視化)を試行することとされる。しかし、これは冤罪の防止につながらない。むしろ、拡大させる恐れが強いのだ。
「容疑者に自白した調書を読み聞かせる場面など、検察が有利になるポイントだけを録音・録画して、裁判の証拠として使われるとどうなるか。自白の強要の有無など、肝心のところは隠されたままなのに、容疑を認めたところだけが強調されてしまう。取り調べのすべてを残さないのなら、録音・録画はやるべきではないのです。一部可視化は問題が余りに大きい」(三井氏)
不祥事をチャッカリ自分たちのプラス材料にスリ替えただけではない。検察は「可視化導入」を高く売ろうと画策もしている。
「検察が最も恐れているのは特捜部の解体です。二流官庁だった検察が脚光を浴びるようになったのは、独自の捜査機関をフル回転させて政治案件に切り込むようになってからです。この力の源泉は何としても守らなければならない。“現場の反対が強い”と難色を示しながら可視化導入で譲歩したように見せかけて、特捜部温存の結論を引き出そうとしているのでしょう」(司法関係者)
特捜部案件をエサにして食っているヤメ検弁護士たちからの“圧力”は相当なものだったようだ。
議論を引き継ぐ法相の諮問機関「検察の在り方検討会議」がどんな結論をまとめるのか、国民は厳しいチェックが必要だ。



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