与謝野に連立持ちかけたのはとにかく消費税アップしたいからだ

(日刊ゲンダイ2010/12/27)

相手は永田町一の増税派。菅は知恵袋が欲しい
菅首相が、たちあがれ日本に「連立」を持ちかけた裏側が見えてきた。根底には、タカ派の平沼赳夫代表まで仲間に引っ張り込むことで、社民党と手を切る狙いがある。自民党関係者が言う。
「菅直人という男は、もともと政治哲学がない。トップに立つことだけが若い頃からの夢だった。で、トップに立ったら、一日も長くやりたいと思うようになった。一日も長くやるには、誰を味方につければいいのか。それはアメリカと官僚と大手メディアです。メディアの幹部たちに、“政権を長く維持したいのなら、アメリカと国内の保守層を敵に回すな”と言われて、完全にその気になってしまった。普天間問題で日米重視を打ち出したり、社民党に秋波を送らないのはそのためなのです。党内の輿石参院議員会長のような社会党や組合系議員も排除しなければと思いつめてしまった。小沢排除問題の根底にはそれがあるし、またガチガチ保守の平沼氏を閣内に入れることにも何の抵抗もなくなっているのです」
そんなことをしても、旧勢力に利用され、ポイ捨てされるのがオチなのに、それに気づかない。菅の限界がそこにあるのだが、さらに霞が関にまで全面的に媚(こび)を売り始めているから手に負えない。それが与謝野馨共同代表の取り込みである。
「菅さんの頭の中は消費税でいっぱいです。衆参選挙が3年間ないことを前提に、自分が消費税アップを決めるしかないと思い込んでいる。財務官僚に完全に洗脳されてしまっているのです。その流れから始まったのが、与謝野さんとの会談であり、今回のたちあがれ日本との連立構想なのです。与謝野さんは政界一の財政再建論者。消費税アップの理論武装をしたい菅さんは、財務省のアドバイスもあって、与謝野さんを知恵袋にしたいのです。平沼さんたちの反対で連立がうまくいかなくても、与謝野さん、園田博之さんだけは取り込んで、与謝野さんを経済財政担当相くらいに据えたいのが菅さんの腹の内ですよ」(政治ジャーナリスト・藤本順一氏)
ますます菅首相は、政権交代時の民主党の理念から最もかけ離れた男になってしまったわけだ。



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