●検察官1人の審査決定=大阪地検の証拠改ざん事件
(時事通信2010/12/27-20:18)http://p.tl/7P66
 検察官の適格性を審査し、罷免を求めることができる検察官適格審査会は27日、大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件をめぐる2度目の会合を法務省で行い、事件に関わった検察官1人の審査開始を決定した。同審査会が職権により審査開始を決めたのは1948年の設置以降、今回が初めて。
 この日の会合には、委員11人のうち10人が出席し、過半数の賛成で審査開始が決まった。審査会は対象検察官の弁明を聞いた上で、罷免の是非について判断を下す。次回開催日は未定。


●村木氏が国家賠償請求=前特捜部長らにも-郵便不正事件で提訴・東京地裁
(時事通信2010/12/27-20:36)http://p.tl/uGH5
 郵便不正事件で無罪判決が確定した村木厚子元厚生労働省局長が、大阪地検特捜部による違法な逮捕・起訴で精神的苦痛を受けたとして、国と前特捜部長大坪弘道被告(57)=犯人隠避罪で起訴=ら3人を相手取り、計約3670万円の支払いを求める国家賠償請求訴訟を27日、東京地裁に起こした。代理人の弘中惇一郎弁護士が同日、記者会見し明らかにした。
 他に訴えられたのは元特捜部主任検事前田恒彦被告(43)=証拠隠滅罪で起訴=と、捜査を担当した国井弘樹検事(35)。
 訴状では、村木氏が無実であることを容易に知り得たのに、ストーリーに沿った調書を作り上げて村木氏を逮捕、勾留した大阪地検や担当検事らの行為は不法行為に当たると主張。起訴休職中に支払われなかった約1年2カ月分の給与計約2100万円の他、精神的苦痛に対する慰謝料として1000万円などを請求している。
 弘中弁護士は、訴訟の対象に大坪被告ら個人を含めたことについて「事件の責任の所在を明確にしたかった。無実の人が追い込まれていった経過を知りたい」と説明した。



●村木厚子さんのコメント全文 
(共同通信2010/12/27 22:23)http://p.tl/cA_A
 厚生労働省元局長の村木厚子さんが27日、最高検の検証結果について公表したコメントの全文は次の通り。

 今回の事件では私の関与はなく、また、そうしたことを示す客観的証拠も全くなかったにもかかわらず、私が関与したとする事実に反する供述調書(特信性が否定されたもののみならず、判決においてその信用性が否定されたもの)が大量に作成されました。検証報告では、逮捕、起訴、公判遂行の各段階における判断の誤りについて率直に認めていただいたものの、そうした取り調べの実態、すなわち、多数の検事により事実と異なる一定のストーリーに沿った調書が大量に作成された過程そのものは検証されませんでした。

 取り調べの実態解明には、容疑者や参考人などの関係者から事情を聴く必要があったと思います。私自身も検証への協力は惜しまないつもりでしたが、最高検からの接触は一切なく、事情を説明する機会もなかったことを非常に残念に思っています。検察官からの事情聴取を中心に検証が行われたのであれば、検証が不十分なもの、偏ったものになっているのではないかという疑念をぬぐえません。

 また、大坪弘道特捜部長(当時)や前田恒彦検事(同)の仕事の進め方に大きな問題があったことは検証結果からよく分かりましたが、そうした幹部を育ててきた組織の風土・文化、そうした仕事の進め方を許してきた組織の機能の在り方などが十分検証されていないように感じました。

 こうした点の解明について外部の方々の「検察の在り方検討会議」に大きな期待を寄せています。

 また、自らも訴訟という手段を通じこれに関わっていくことを決めました。

 国民からの信頼を取り戻すための検察のこれからの努力をしっかり見守っていきたいと思います。


●新検事総長「特捜部存続がいい」 笠間氏が就任会見
(共同通信2010/12/27 20:37) http://p.tl/b8JD

 第26代検事総長に就任し、記者会見する笠間治雄氏=27日午後、最高検察庁
 大林宏検事総長(63)の引責辞任に伴い、第26代検事総長に就任した笠間治雄氏(62)が27日、東京・霞が関の最高検で記者会見し、特捜部の存廃論について個人的意見と断った上で「贈収賄事件などの摘発に実績がある。同様の犯罪がある以上、存続した方が良い」との認識を示した。

 法務省での勤務経験がない検事総長は異例で、東京地検特捜部長経験者の就任は吉永祐介元総長以来17年ぶり。

 笠間新総長は会見で「再発防止策を早急に実行することが私の使命」とし、特捜部の捜査には「暴走しないシステムの構築が必要」と指摘。取り調べの一部録音・録画(可視化)の試行には「組織内で波紋を呼ぶ可能性はあるが、現場の意見を聞き、とにかくやっていく」と意欲を示した。



●証拠改ざん:「強い衝撃」大林検事総長が退任会見
(毎日新聞 2010年12月27日 22時52分) http://p.tl/iUNK

退任会見で一連の不祥事についての思いを語る大林宏前検事総長=東京都千代田区霞が関の最高検で2010年12月27日午後1時58分、塩入正夫撮影 郵便不正事件に絡む証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件を受け、検察トップの大林宏・検事総長(63)が27日付で辞職し、笠間治雄・東京高検検事長(62)が新しい検事総長に就任、それぞれ東京・霞が関の最高検で会見した。総長が事実上不祥事を理由に任期半ばで辞職するのは極めて異例。大林氏は「検察組織は深刻な状態にある。事態の重大さを検察職員に伝えたかった」と語った。

 大林氏は事件について「強い衝撃を受けた。大阪だけ、特捜部だけの問題ではない。信頼回復のための正念場を迎えている」と指摘。「検察改革をしないと、このような問題をまた発生させてしまう危機感がある」と述べた。後任の笠間総長については、豊富な現場経験や検察実務に精通している点を評価。「笠間総長のもとで使命感と誇りを持って大きな山を乗り越えてほしい」と語った。

 一方、笠間総長はやや緊張した面持ちで「最高検が打ち出した再発防止策を早急に実施し、検察の信頼回復に全力を注ぎたい」と決意を語った。自らの在籍期間が長い特捜部については「事件の見立てがやや硬直化することがある」と欠点を指摘。「検事の教育だけでなく、捜査が暴走しないようなシステムが必要」と語った。

 また、総長就任について「(今回の事件は)私にも広い意味で責任があり、自分が適任なのかなと思ったことはある。やれと言われたからにはやるか、という気持ち」と説明。現場の検察官に「相手の言うことに虚心坦懐(たんかい)に耳を傾けてほしい。そうすれば捜査の方向性を間違うことは相当防げる」と呼びかけた。【三木幸治、山本将克】


●検察官適格審査会:郵便不正事件捜査の検事、審査を開始
(毎日新聞 2010年12月28日 2時32分) http://p.tl/O3Ke

 検察官の罷免を求めることができる検察官適格審査会は27日、郵便不正事件を巡る証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件に絡み、一般から審査申し立てのあった検察官1人に対する審査開始を決めた。一般からの申し立てによる審査開始は初。審査会は対象となる検察官の氏名を公表していないが、出席委員によると、事件当時に大阪地検検事だった現法務総合研究所教官の国井弘樹検事という。

 国井検事は昨年7月に証拠改ざんを知りながら上司への報告が遅れたことと、郵便不正事件での容疑者の取り調べで机を数回たたいたうえ、上司の聞き取りにも事実を報告しなかったことから、減給と戒告の懲戒処分を受けている。審査会は2度の処分を重視して審査開始を判断したとみられ、今後、罷免すべきかどうかを決める。

【石川淳一、野口由紀】