八方ふさがり 菅・岡田狂気の暴走 (日刊ゲンダイ2010/12/28)

◆党大会を乗り切ることしかアタマにない

「総理は錯乱状態にあるんじゃないか」と、野党の閣僚経験者が言った。「気持ちははやっているようだが、何をしたいのかサッパリ分からない」というのだ。

きのう(27日)午後に開かれた民主党役員会。普段は参加しない菅首相が乗り込んで、小沢元代表の政倫審招致を強く求めた。出席者によれば、菅は思い詰めた表情で、「小沢氏が出てこなければ、この党は持たない」「これは政局ではない。国民への説明責任の問題だ」などとまくし立てたという。夕方には、記者団の前で「党が決めたことに従えないなら、ご本人が出処進退を考えるしかない」と、自発的離党を促すような発言までしてみせた。小沢切り、内閣改造で支持率回復を当て込んでいるのだろうが、狙い通り進むかどうか。
「支持率は低迷、通常国会の見通しもゼロ。手詰まりの菅首相にとって、政権浮揚につながりそうな持ち札は
“脱小沢”しかない。『そこで毅然とした判断を下せば世論は喝采する』と、たきつけている連中もいる。小沢切りでリーダーシップを発揮すれば、未来が開けると、いまだに信じ込んでいるようです」(永田町関係者)
菅が思い詰めるのも無理はない。政権が発足してから、選挙は連戦連敗。26日に投開票された西東京市議選では、首相のお膝元なのに惨敗してしまった。

「公認候補7人のうち現職4人が落選。現有5議席から3議席に減らしてしまった。このショックは、計り知れませんよ。西東京市は菅首相の地元で、民主党が圧倒的に強い。本来なら7候補が全員当選して当たり前なのです。しかも、あるメディアの調査では、民主党に投票しなかった理由として、小沢氏の問題と同じくらい菅首相のテイタラクを挙げる人がいた。お膝元でさえ、この結果なのだから、他の地域では“首相の資質”の問題の方が大きい。これでは到底、来年の統一地方選は戦えません。1月の党大会で、地方議員から激しい突き上げをくらうのは必至です」(都政記者)


27日の役員会では、小沢問題を一任されている岡田幹事長が「いつまでも引き延ばすわけにいかない」と、小沢が自ら政倫審に出席しなければ、来年1月の通常国会開会までに政倫審で招致を議決することを決定。今回は期限を区切ったことで、一応は踏み込んだ形にしてみせた。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「野党が証人喚問を求めている以上、小沢氏の政倫審招致は、国会運営という観点からすれば意味がない。

それでも通常国会前に議決と期限を決めたのは、党大会向けの手続きです。いま菅首相の頭の中にあるのは1月13日の党大会をクリアすることだけ。わざわざ役員会に参加したのも、首相の指導力をアピールするためのパフォーマンスです。もちろん、小沢氏を政倫審に引っ張り出したところで、その先の展望は何もない。20日前後には通常国会も始まりますが、菅首相は目先の党大会のことしか考えていないのです。国会運営については党大会が終わってからでしょう」

同時に複数のことを考えるアタマもない男が、この国のトップに君臨し、思い込みで暴走していると思うと空恐ろしくなってくる。連立を持ちかけた「たちあがれ日本」にも、「菅首相がやっている間は(連立は)ダメだ」とフラれてしまった。八方ふさがりの菅と岡田のKOコンビ。自滅は時間の問題となってきた。



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