菅政権3閣僚 埋蔵金探し「打ち止め」の裏切り

(日刊ゲンダイ2010/12/28)

◆まだ数兆円規模で眠っているのに

大マスコミはホンの小さな扱いだったが、予算編成のドサクサで菅内閣の大臣同士がトンデモ方針を決めてしまった。先週22日に基礎年金2分の1の国庫負担について、野田財務相と細川厚労相、玄葉国家戦略相の関係3大臣が「12年度以降は税制の抜本改革によって財源を確保する」という合意文書を交わした一件である。
「国庫負担の不足分について、11年度は独立行政法人や特別会計に眠っていた『霞が関埋蔵金』2・6兆円で賄うことが決まっています。こうしたやりくりについて、野田財務相は記者会見で『もはや限界』と悲鳴を上げていた。そんな中で出てきた3大臣の合意文書は、埋蔵金発掘をヤメて消費税アップを含めた増税路線にカジを切ると宣言したようなものです」(霞が関関係者)
本当にバカな方針を決めたものだ。この数年、財務省は常に「もう埋蔵金はない」と猛アピール。たちあがれ日本の与謝野馨代表のように財務省に洗脳された政治家が「埋蔵金は伝説のたぐい」などと合いの手を打ち続けた。ところが、予算編成の土壇場になると、財務省が「これが本当に最後です」と埋蔵金を粛々と差し出すのが、年中行事と化してきた。
こうして発掘された埋蔵金の額は、初めて予算に活用された07年度以降の5年間で累計40兆円近くに上る。
「埋蔵金は決して枯渇していません。事業仕分けで、12・8兆円もの積立金を『ムダ』と指摘されながら手付かずのままの労働保険特別会計など、まだまだ数兆円規模の財源が眠っています。しかし、埋蔵金は探さないと決めてしまった以上、その先に待っているのは大増税しかありません。霞が関の官僚は、3大臣合意にホクホクですよ」(政界関係者)
やはり財務省に洗脳されているのだろう。26日にテレビ出演した仙谷官房長官も「このままで財政は立ち行かなくなるので、増税が必要」と発言していた。ムダの削減で「16・8兆円を生み出す」と豪語したマニフェストは何だったのか――。国民無視のサギ集団が政権に居座る限り、来年は悪夢のような増税イヤーになりそうだ。



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