世界中の国家や政府が溶解していく [2011年、必ず起こると予測されているこれだけの難題]

(日刊ゲンダイ2010/12/30)

世界危機はいよいよ深刻化する
2022年のワールドカップはカタールに決まった。2010年は南アフリカ、14年はブラジル、18年はロシア。新興国ばかりが並ぶ。開催地競争で先進国がことごとく敗れた結果だ。
先進国はワールドカップどころではないのである。財政、経済危機だけではなく、国家のガバナンスが利かなくなっている。2010年は、それが初めて顕在化した年だ。11年はそれがさらにむき出しになる。名古屋大特任教授の春名幹男氏は「第3次世界大戦前夜の様相」とまで言うのである。
「2012年には世界の火薬庫が緊迫する年になると思います。イラン、ロシア、中国、インド。戦争は弾みで起こる。それが怖い。その背景は2つあります。まず、米国、EUなど、先進国がガタガタになっていること。それを見た新興国が新たな世界秩序の中で優位なポジションを占めるべく、派手に動き出していることです。中にはきな臭い動きがあるのに、米国の抑えが利かなくなっている。これが2つ目の理由です。世界中で平和の緊張感が崩れ、一触即発のところがいくつもある。国家のガバナンスが利いていればいいが、2012年に指導者が代わるところは、権力闘争でガバナンスが崩れる。アチコチで危険がいっぱいです」
とくに深刻なのが米国だ。アフガニスタンは泥沼だし、オバマ大統領は中間選挙で大敗、ウィキリークスによって25万通もの公電も暴露された。これで米国の外交は当分、機能しないだろうといわれている。
経済的信用もガタガタだ。米連銀が米国債を大量買い入れするという身勝手なドル安政策にカジ切りしたために、世界中が秩序なき通貨安戦争に突入してしまった。
米国の迷走を見た中国はレアアースの禁輸を言い出し、北朝鮮は韓国を砲撃した。世界中が勝手に動き出し、日本は翻弄されっぱなしだ。そうしたら、警察から公安情報が流出した。日本のメルトダウンは目を覆うばかりだが、世界も同じだ。無政府状態のような国ばかりなのだから、何が起こるかわからない。