●【岡田浩明の永田町便り】「仮免首相」の逃げ癖、「病膏肓に入る」
(産経新聞2011.1.2 18:00)http://p.tl/iNtN  

 「机の右の引き出しに入っているよ」
 平成22年も暮れようとしている12月末の衆院第一議員会館。民主党の小沢一郎元代表に近い中堅議員は、引き出しの「辞表」を、そっとみせてくれた。
 菅直人内閣で政務三役を務めている中堅議員は、こう付け加えた。「あとは日付を入れるだけだ」。もちろん、辞表は「政務三役の辞任」。「政治とカネ」の問題を抱える小沢氏に対し「政治的責任を果たすべきだ」として、衆院政治倫理審査会の出席を求め、従わなければ離党勧告も視野に入れる首相や岡田克也幹事長ら党執行部。辞表は「脱小沢」路線を崩さない菅政権への「抗議」なのだ。
 昨年の民主党は国民そっちのけで、菅政権と小沢氏支持勢力との党内抗争に終始した。新年を迎えても「菅VS小沢」の仁義なき戦いに変化はみられないが、実際に辞表まで用意している状況を目の当たりにすると、党内の亀裂はもはや修復不能な域まで達していることがうかがえた。
 そもそも、対立が鮮明になったのは菅首相と小沢元代表による一騎打ちとなった9月の党代表選。それまでも両氏の政治手法など路線の違いは指摘されていたが、そのたびに「挙党一致」という大義で取り繕ってきた。
 だが、対立の根本は政治手法などの違いというよりも、単なる菅内閣の支持率が急落し、求心力が一気に失われていることにありそうだ。民主党関係者もこう指摘する。
 「菅政権は政権運営の作法を知らず、何をやりたいかのメッセージが発信できていない。すると、国民は不安になり、内閣支持率が下がる。いったん下がると、党内が浮き足だって政権基盤が揺らぐ。そして党内抗争の激化…といった負のスパイラルから抜け出せずにいる」
菅政権の求心力低下は、ひとえに首相自身が直面する課題に挑む「闘争本能」が国民に感じられないことに起因するのではないか。
 昨年12月で発足半年を迎えた菅内閣だが、消費税増税は参院選大敗で封印したまま。沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件など外交問題の失政、閣僚の相次ぐ失言も、ケジメのないまま無責任ぶりを露呈している。
 さらにタチが悪いのは、政権への国民の厳しい視線をかわすため、小沢元代表の国会招致をクローズアップさせることで、政権浮揚の材料にしようとしている点だ。そのうえ、小沢元代表を国会に引っ張り出す“汚れ役”を、岡田克也幹事長に丸投げ。ようやく首相自ら小沢氏の説得を試みたものの、それまでは「最終的な段階で…」と、逃げの一手を連発するだけだった。
 要は、国民の反発を受けると持論を引っ込めてしまったり、都合の悪いことは第三者に丸投げしたりする「逃走本能」丸出し-。これが菅政権の正体で、構造的な欠陥ともいえる。「仮免首相」の逃げ癖は、「病膏肓に入る」なのだ。
 別の民主党関係者は菅政権について、東工大卒の首相や東大卒の岡田幹事長を引き合いに、「高学歴が居並ぶ頭のよい人たちの頭の悪すぎる政権運営だ」と指摘した。言い得て妙だ。
 年が明けて平成23年。菅政権には、参院で問責を受けた仙谷由人官房長官を含めた内閣改造、小沢元代表の国会招致など「宿題」が待ち受けている。対応を誤れば政権の“余命”は縮まるが、いずれにしても、逃走本能から闘争本能に切り替え、根本的な病理を改善しない限り、菅政権に明日はない。
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 今年から月1回のペースでコラムを担当します。嫉妬と憎悪が渦巻く「永田町」の風景をさまざまな角度から分かりやすく伝えていきたいと思います。


●公明、審議拒否変わらず 仙谷氏続投で山口氏
(共同通信2011/01/02 12:09)http://p.tl/oq9y

 公明党の山口那津男代表は2日、問責決議された仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相が続投する場合「議論に応じない結論は変わっていない」と述べ、通常国会で審議拒否する方針を強調した。その上で、仙谷氏の法相兼任解消や問責への対応で菅直人首相が内閣改造を断行するとの見通しを示した。都内で記者団に語った。

 これに先立ち街頭演説では、小沢一郎民主党元代表の国会招致をめぐる民主党内の対立に触れ「党が真っ二つに割れている。内憂外患に恐れおののいているようでは日本の未来はおぼつかない」と批判した。