「小沢圧勝」の見方 菅「仙谷切り」しぶしぶ決断 (日刊ゲンダイ2011/1/4)

ついに菅首相が「仙谷切り」に動く。1月13日の「党大会」後、内閣改造に踏み切り、問責決議の仙谷官房長官を更迭するつもりだ。「陰の総理」として内閣を牛耳ってきた仙谷だが、官房長官というポストを失えば、文字通りただの「一兵卒」に逆戻り。司令塔が失脚すれば、「反小沢一派」は総崩れになる可能性が高い。

◆追い込まれた内閣改造
菅首相が仙谷長官の更迭に動かざるを得なくなったのは、昨年末28日、小沢一郎元代表が不意を打つ形で「政倫審」への出席を表明したためだ。
「まさか小沢が政倫審への出席を承諾するとは予想していなかった仙谷周辺は、焦りまくっています。痛かったのは、小沢が『問責決議の方が、国会審議を進めるには大きな問題ではないのか』と誰もが納得する“正論”を吐いたことです。小沢が政倫審出席を決めたことで、マスコミの批判トーンも一気にしぼみ、小沢を追い詰めようとして投げたボールが仙谷に戻ってきた。さっそく西岡参院議長は、1月の通常国会前に仙谷長官を交代させるように岡田幹事長に迫っています。もはや、国会召集前の内閣改造は既定路線。仙谷グループは、小沢の政倫審への出席拒否を前提にして“離党勧告”を突きつけるシナリオを練っていたが、それもパーになった。仙谷周辺は『困った、困った』と頭を抱えているのです」(民主党関係者)
菅首相も「ねじれ国会」を乗り切るには、小沢の政倫審出席と、仙谷更迭の2つをクリアするしかないとハラを固めたという。2つの問題を解決すれば、野党が審議拒否する理由がなくなると思っているらしい。
「菅首相は『リーダーシップがない』と言われることを極端に嫌がっている。マスコミが仙谷長官を『陰の総理』と呼ぶことも不快に思っています。強いリーダーシップを示すために、ここで『脱仙谷』を進めるつもり。昨年末からは仙谷長官と距離を置き、岡田幹事長を重用しはじめています」(官邸事情通)


◆政倫審出席表明ですべてシナリオ狂った反小沢一派
このままではクビを切られると仙谷長官も巻き返しに必死だった。年末の26、27、28日……と連日テレビに出演しては、「野党が小沢さんの議員辞職勧告決議案を出してきたら悩ましい」「出処進退は小沢さん本人が決めると思う」と、小沢を党から追放しようとシャカリキになっていた。世間の関心を小沢問題に集中させようとしたのだが、それも万事休すだ。
「民主党内は、小沢一郎vs.仙谷由人という対立が続いてきたが、小沢の圧勝で決着しそうです。政倫審に出席するだけなら、小沢は痛くもかゆくもない。執行部からは『強制起訴されたら離党勧告だ』という声も上がっていたが、新年会で120人を集めた小沢を簡単に切れるはずがない。もともと、離党勧告は党内手続きが面倒くさいし、策を弄してきた仙谷がいなくなれば、反小沢派もマスコミも踊りづらくなる。それよりも、官房長官というポストをバックにやりたい放題やってきた仙谷は、傲岸不遜な態度が嫌われているだけに、肩書を失ったらほとんど影響力がなくなるとみられています」(民主党関係者)
小沢一郎にケンカを売ることでノシ上がってきた仙谷長官。策士、策に溺れる典型的な展開になってきた。

※日刊ゲンダイはケータイで月315円で読める。
この貴重な媒体を応援しよう!
http://gendai.net/