[窮鼠]仙谷vs.[権力亡者]首相 ドロドロ神経戦  (日刊ゲンダイ2011/1/7)

◆交代・更迭論強まる

「これ、貴重品になると思うよ」――。
法律相談に応じる「法テラス」の活動をPRする「法テラス・サポーターズクラブ」の大使に就任した女優の福田沙紀が5日、法務省を訪れた。法相を兼任する仙谷官房長官が応対。冒頭のセリフは彼女に名刺を差し出した際に飛び出したものである。

年明け以降、交代説が日に日に強まる。きのう(6日)は、西岡参院議長が「閣僚としての問責だから、横滑りも駄目だ」とバッサリ。陰の総理としてやりたい放題だった仙谷が一気に追い詰められている。さすがに「もはや留任はない」と諦めたのか――。

「いやいやそんなタマではないですよ。野党の交代要求に対して“問責という法的効力のないもので(内閣を)揺さぶり解散に追い込むとなると、憲法が前提とする仕組みを根底から崩すことになる”と強弁し、審議拒否姿勢を真っ向から批判している。メディアにも黙っていない。昨年末の内閣記者会との懇談会で“セクハラ発言”が飛び出したと書いた週刊誌に対して、対抗措置の構えを見せています。そんな人物が、スゴスゴと更迭を受け入れるとは到底思えませんね」(政界関係者)

今後の政治スケジュールを見ると、12日に(民主党)両院議員総会、13日に党大会と続く。通常国会召集は28日、内閣改造は14日が有力となってきた。「仙谷更迭」となれば、残り任期は1週間である。この1週間、仙谷はどう出てくるのか。
「5日の閣議後の会見で、北沢防衛相が菅との会談内容を漏らし、改造論に火を付けた。あれは自分と菅の関係の深さをアピールし、存在感を示したもの。今後、さまざまな形で猟官活動が繰り広げられますよ。もちろん、仙谷は面白くない。何を考えているか分からない権力亡者・菅の真意を探りつつ、延命策を考えているはずです」(政治ジャーナリスト)

◆「外したいならどうぞ。あとは知らんよ」

こんな話が伝わってきた。仙谷は親しい議員らにこうグチっているという。
「外したいならどうぞお好きなように。あとは知らんよ」

消費税・TPPで突然「6月期限」を言い出し、「政治生命を懸ける」と暴走する菅に対して、「オレがいなくて本当にできるのか」と、間接的にブラフをかけているようなものだ。
「菅はまだ処遇を迷っている。仙谷に対しても人事の話は全くしていないようです。党の要職といっても幹事長には就けられないから、あてがうとすれば空席の代表代行ぐらい。ただ、権力維持のためなら何でもする男ですから、世論対策、野党対策次第では、仙谷を無役にする可能性もある。そうなったら、仙谷は黙ってない。子分の前原外相や蓮舫行政刷新担当相らをたきつけ、非主流派に回り、今度は倒閣に走ることもあり得る。党大会―改造に向けて、菅と仙谷の一触即発の神経戦が続きますよ」(前出のジャーナリスト)

窮鼠と権力亡者のドロドロ攻防。醜悪としかいいようがない。



※日刊ゲンダイはケータイで月315円で読める。
この貴重な媒体を応援しよう!
http://gendai.net/