仙谷氏「しがみつかない」自負心の中に弱気も 
(東京新聞 2011年1月6日)http://p.tl/YQxU

 菅直人首相が内閣改造を断行する方針を固め、処遇が注目されてきた仙谷由人官房長官も交代させる可能性をにじませた。政権を自分が支えてきた自負を持つ仙谷氏は、今なお続投の意欲は持ち続けているが、交代論の高まりに弱気な面も。内心は揺れ動いている。 (城島建治)
 仙谷氏は五日の記者会見で「(野党が)問責を盾に審議に応じない戦術をとるなら、国会に対する信頼を失う」と強調。参院での問責決議が自身の進退に直結しないという従来の主張を繰り返した。
 これまでも仙谷氏は衆院で自らの不信任決議案が否決されたことを踏まえ「私は衆院で信任を受けている」と指摘。「参院が閣僚を飛ばしていける構造をつくれば、衆院に優位性を持たせるという憲法が考える秩序の構造が崩される」などと弁護士ならではの法律論を持ち出し“自己弁護”を続けてきた。
 背景には「自らが内閣の要であり、内政、外交両面で菅政権をリードしてきたとの思い」(周辺)がある。周囲には「官房長官としてやり残した課題は多い。自分にしか務まらない。まだ辞めるわけにはいかない」と語っているという。
 だが、仙谷氏続投なら、通常国会冒頭からの審議拒否への野党の姿勢は固く、政府・民主党は有効な打開策を見いだせていない。あるベテラン議員は「仙谷氏は代え難い人材だが、交代させないと野党は、ばかにされたと思う」と指摘する。
 こうした中、北沢俊美防衛相は五日、通常国会を乗り切るため「そういう道も一つ考えられるかもしれない」と述べ、閣僚メンバーとして初めて、仙谷氏交代の可能性に言及した。北沢氏は四日夜、首相と二人だけで一時間余り会談したばかりで「首相から何か聞かされたのでは」との臆測も呼んでいる。
 仙谷氏にしても、自らを取り巻く状況の厳しさは十分認識しているようだ。親しい関係者との最近の会話では続投に意欲を示しながらも「(地位に)しがみつくつもりはない」「党に戻ってもいい」と弱気な発言も交じるようになっている。
 人事権者の首相は、仙谷氏の処遇について、まだ最終決断していないが、「首相は相当、頭を悩ませている」(官邸筋)という。首相も仙谷氏も、もうしばらく落ち着かない日が続く。