首相 仙谷長官交代を検討 後任探し 難航必至
(東京新聞2011年1月7日) http://p.tl/W2PH
 菅直人首相は、十三日の民主党大会後に内閣改造に踏みきり、問責決議を受けた仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相を交代させる方向で検討に入った。仙谷氏の後任官房長官をめぐっては、何人かの名前が浮上しているが、いずれも決め手に欠け、人選は難航必至だ。(高山晶一)
 首相周辺は「官房長官はスポークスマン、政策調整、首相を守るという三つの役割がある。かつて対応できた人は実はあまりいない」と官房長官ポストの人選の難しさを口にした。
 政府・民主党内で、まず名前が挙がるのは岡田克也幹事長。外相や幹事長を務めてきた経歴の重みや堅実な政治手法には定評があるが、本人は慎重。五日のインターネット番組で「(首相が)嫌がる私を幹事長に据えて、まだ数カ月しかたっていない」と幹事長続投に意欲を示した。党の実質的ナンバーワンの幹事長が官房長官になるのは「降格」人事でもあり、説得は容易ではない。
 江田五月前参院議長の名前もささやかれる。首相の側近中の側近で女房役としては適任だ。ただ、三権の長まで務めた人物が官房長官になるのは極めて異例。加えて、おっとりとした江田氏が国会対策などの「切った張った」には不向きで、「評論家肌だし、党内をまとめる力があるかどうか」(首相官邸筋)との声も。
 北沢俊美防衛相の名前も挙がる。米軍普天間飛行場移設問題などで首相とやりとりする中で、信頼を得るようになったとされるが、「輿石東参院議員会長と距離がある。輿石氏を動かせないと参院はまったく動かない」(政府関係者)との指摘が出ている。
 玄葉光一郎政調会長や枝野幸男幹事長代理を推す声も。両氏とも政策通で、仙谷氏とも近く、首相にとって比較的リスクが少ない選択肢といえるが、若く、どちらかといえば、目立ちたい傾向がある両氏には「縁の下の力持ち」の役割がしっくりしないことも。
 川端達夫前文部科学相の名前も。国対委員長経験者で野党とパイプがあり、労組出身だけに連合からも歓迎されそうだが、「首相とあまり気が合わない」との見方もある。
 首相も「(人事で)具体的なことは熟慮している」と繰り返すだけで、頭を悩ましている。