菅直人を即刻辞めさせないと国が滅びる  (日刊ゲンダイ2011/1/8)

◆菅直人とは何者か

この国のトップ、菅直人とは一体何者なのか。半年間でだんだんとハッキリしてきたのは、「猿マネ男」という正体だ。
慶大教授の金子勝氏は本紙コラムで「菅直人は演技力のない小泉純一郎だ」と指摘していた。確かに、何でも小泉政治のマネをして、支持率頼みの政権長期化を狙う下心がロコツになっている。金子勝氏は、小泉政治の猿マネとして、(1)財界ベッタリ(2)アメリカ追随一辺倒(3)党内に抵抗勢力つくって支持率アップ(4)事業仕分けで公務員叩きのテレビパフォーマンス(5)小泉のハンセン病控訴断念をマネた諫早湾開門問題の上告断念――を例として挙げている。

そのうえで、「ただ、二番煎じのうえに、菅首相は自信がなくオドオドしていて、小泉純一郎のような詐欺師的演技力もないから、まったく支持率が上がらない」と呆れ果てていた。
よりによって、政権交代を成し遂げた民主党政権の首相が、自民党の小泉純一郎をマネる神経が分からない。構造改革、緊縮財政で庶民生活をボロボロにし、財界・米国に富を捧げてきた小泉政治に対し、逆のことをやるのが民主党政権ではなかったのか。しかし、権力亡者の菅にはそういうことはどうでもいいのだ。


◆猿マネ男よりも卑しく汚い男

政治評論家の浅川博忠氏が言う。
「小泉さんは、低支持率で行き詰まった森内閣の後を引き継いだが、子分はおらず、党内基盤も弱く、当初は都議選、参院選用のワンポイント起用でした。ところがうまく世論を味方につけ、5年もの長期政権になった。菅さんも、党内基盤はほとんどなく、参院選対策で首相に起用された。“生い立ち”が似ているから、小泉さんのマネをすれば、長期政権も夢じゃないと思っているんでしょうが、それは大きな勘違いです。ブレまくり、他人に責任を負わせ、やりたいことが何もない菅さんが、形だけ小泉手法を模倣しても、支持率が上がるわけがありません。浅はかすぎますよ」

先の金子勝氏はこう断じている。
「米国、財界、官僚など強者の言うがままになっている菅首相は、本当に市民運動出身で市民派の代表なのだろうか。もはや支持しているのは、マニフェストを無視して何でも言うことを聞いてくれるので喜んでいる財界くらいではないか」
情けない。官僚や財界のために消費税増税をぶち上げたり、法人減税をするために、有権者は民主党政権を選んだのではないのだ。ましてや「市民派」とか「サラリーマンの子供」と称しながら、強者ばかりにスリ寄り、それを政権維持に利用する菅直人という男は、ヘドが出る許しがたい存在だ。単なる猿マネ男よりも、もっと卑しく汚くて腐っている。
権力にしがみつくしか能がない、「市民運動家」を騙(かた)る政治的ペテン師そのものだ。


◆「古い政治」と決別できないのは小沢でなくて菅

バブル崩壊後の経済縮小と、小泉デタラメ改革の総貧乏化で、この国は1990年代、2000年代と「失われた20年」が続いてきた。ほとほと国民は疲れ果て、なんとか流れを変えてくれと、機能マヒの自民党政治にオサラバし、新鮮で未知の民主党に政権を託したのである。
それなのに、このザマは何だ。菅政治は、自民党政治の最低の失敗部分だけをマネて生き延びようとしている。こんなロクデナシ首相は即刻辞めさせないと、失われた20年が、あと10年も続き、国は滅びてしまう。
筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)がこう言った。
「アメリカに追従し、官僚にお膳立てしてもらって財界が儲かる政治をしていれば経済は発展するという戦後日本のパターンはもう通用しない。壊れてしまった。この国は餓死者があちこちで見つかる貧しい国になってしまっているのが現実です。そんな中で民主党政権が誕生し、鳩山・小沢時代はこの国のアメリカ偏重、官僚支配の仕組みを何とか変えようともがいてきた。政治とカネの問題で旧勢力に邪魔されながらも、国民生活が第一のマニフェストを掲げ、改革の志は捨てなかった。ところが、菅首相になって全部逆戻りです。自分の権力欲が第一の人だから、旧勢力と組んで日本を衰退させた古い政治に戻そうとしている。狂気の沙汰です。これでは衰退がひどくなるだけです」◆三流四流の大マスコミに騙されるな
狂ったような小沢排除劇も、結局のところ、小沢政治=民主党マニフェスト=官僚打破を捨てさせ、旧態依然政治へ戻す地ならしの面もあるのだ。

菅は口を開けば、小沢問題について「古い政治と決別しなければ」と言うが、古い政治にドップリなのはお前なのだ。自分の延命のためなら同志を売り、魂も売り、国民が拒否した自民党政治を再現し、国を衰退させる。これが国のトップとは、もう極悪犯罪である。
「この国は、大マスコミが三流四流だから、国民はすっかりダマされてしまっている。デフレ不況がどんどん悪化しているのは、菅内閣と財務官僚が消費縮小のデフレ政策を続けている結果なのですが、そんなことは報道されない。悪いのは全部、小沢氏。カネの問題があるから、この国は前に進まないみたいな報道の洪水になり、国民はうのみにしている。国民の将来不安や景気への不満を、小沢氏を叩くことで発散させている。悪者をこしらえて石を投げさせる。そうやって国民を違う方向へ向けさせておいて、菅内閣と財務省は消費税増税を急ピッチで進めようとしている。こんな狂気の政治を許していたら、日本のGDPはいずれ3分の2、半分に縮み、完全に立ち行かなくなってしまいますよ」(経済アナリスト・菊池英博氏)

国民生活を潰すためだけに存在するようなペテン菅政権を、一日でも長く続けさせる理由など、ひとつもないのだ。




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