ついに枝野まで浮上した 官房長官人事めぐるドロドロ内情
(日刊ゲンダイ2011/1/11)

迫る内閣改造に向け、日替わりメニューのように次から次へと飛び出す官房長官候補。江田前参院議長、北沢防衛相、岡田幹事長、野田財務相、玄葉国家戦略担当相……。ここへきて今度は「枝野官房長官で調整」なんて記事まで飛び出すありさまだ。それだけ民主党内には有望な人材が揃っているということなのか、それとも誰も引き受けたくないからなのか。煮え切らない政権亡者・菅の保身の迷走が続く。

これまでに挙がった候補の大半は実現可能性ゼロとみていい。まず、参院の江田と北沢。
「2人とも共通しているのは菅との関係が良好なことです。でも、三権の長を務めた人物(江田)が官房長官というのは常識的にはあり得ないし、菅も江田のことを政治家としての力量はさほど評価していない。笑ってしまうのは北沢です。4日に公邸で菅と会ったときのやりとりを勘違いし、長官を打診されたと思い込み、舞い上がってしまったのです。菅にはそんな気はまるでありません」(政界関係者)
幹事長続投をいち早く宣言した岡田も百パーセントない。
「本人が幹事長に固執しているうえ、原理主義者では閣内の取りまとめは無理だし、政権運営が立ち行かなくなりますからね」(前出の関係者)

予算審議が本格化する中で、財務相は代えられないから野田もナシ。前回の改造で初入閣した玄葉は「調整能力はあるが官僚を手なずける力量はない」(ベテラン記者)というレベルで、力量不足は明らか。


◆「仙谷続投」のブラックジョークも
となると、残るのは枝野だ。この男は参院選惨敗後に幹事長をクビになったにもかかわらず、幹事長代理で復活した反小沢の急先鋒だ。
「仙谷の覚えがいいんですよ。今回、官房長官候補で取り沙汰されているのも、裏には仙谷の意向があるとみられている。仙谷本人は、周囲に“(続投の可能性は)ゼロではない”と漏らしたそうです。留任したくて仕方がないのです。踏ん切りがつかない菅に、あの手この手で留任させようとしている。神経戦ですね。この期に及んで『仙谷氏続投論根強く』なんて記事まで出てきています。万が一、ダメだった場合、息のかかる枝野が後任に座れば影響力を残せると踏んでいるのでしょう」(民主党関係者)

名前が出た政治家の共通項は「反小沢」。菅の頭の中にあるのは「誰にしたら政権を長く続けられるか」だけ。保身最優先の官房長官人事なのである。そんな菅の思惑を見透かした連中が、さまざまな思惑を胸にうごめく。まさに魑(ち)魅(み)魍(もう)魎(りよう)の世界だ。


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