内閣改造:首相VS参院議長・野党…官房長官交代でタッグ
(毎日新聞 2011年1月12日0時09分)http://p.tl/SZjS
菅直人首相は11日、民主党大会(13日)後に予定している内閣改造へ向けた調整を急いだ。しかし、首相と10日に会談した西岡武夫参院議長は仙谷由人官房長官の交代を求め、11日の記者会見でも「院の総意として問責決議を可決した以上は閣僚は辞任すべきだと確信している」と明言。参院議長と野党がタッグを組んで仙谷氏の交代を迫る構図が鮮明になった。【高山祐、念佛明奈】

 「まだ迷っておられるというか、事態の深刻さを理解していない」。西岡氏は会見で、首相が10日の会談で仙谷氏の続投を模索する姿勢をみせたことを批判し、同じく問責を受けた馬淵澄夫国土交通相とともに交代させるよう要求。「まさか今のままで国会召集できるとは思っておられないと思う。私は決断するときにはする」と通常国会召集日の開会式開催に応じない可能性もちらつかせた。

 西岡氏は民主党出身の議長だが、旧自由党で小沢一郎民主党元代表と行動をともにしてきた。首相が年頭所感で「政治とカネ」問題にけじめをつける決意を表明したことも「年頭所感で小沢さんのことをいろいろ言われるのは不自然」と批判した。小沢氏も11日のCS放送で「参院の決議の重みも十分、考えなければならない」と仙谷氏の交代を暗に求めた。

 これを受け、自民党の逢沢一郎国対委員長は11日、横路孝弘衆院議長と会談した際に「衆院議長と参院議長の考え方が異なれば、国会全体が混乱する」と述べ、参院の問責決議を衆院としても尊重するよう要求した。逢沢氏は記者会見で「さらに政治状況が悪化すれば、菅首相そのものに対する問責ということになる」と首相問責決議案を提出する可能性にも言及。ただ、そうなれば首相が衆院解散で対抗することも予想されるため、「それは大きな政治決断だ。背景に国民の支持と理解がなければ動かない」と付け加えた。

 仙谷氏は「問責決議に法的根拠はない」と繰り返しているが、公明党の山口那津男代表は11日、日本記者クラブで会見し「法律論で言葉を吐く人がいるが、筋違いだ。政治的な立場から首相、閣僚が対応すべきで、誠意ある対応がなければ審議には応じられない」と反論した。参院議長の後ろ盾を得た野党が首相と仙谷氏に対する包囲網を狭めている。

 首相周辺や前原誠司外相のグループには続投論が強いが、前原氏は11日の記者会見で「問責を受けたからという意味で代えるのであれば、それについては反対だ」と述べ、問責と切り離した大幅な内閣改造での交代なら受け入れる可能性を示唆した。