小沢は「政倫審出席」を甘く考えない方がいい (日刊ゲンダイ2011/1/12)

小沢一郎元代表が通常国会召集後の政倫審出席を承諾した。仙谷官房長官の更迭と「相打ち」だから、政倫審に出席しても“安全”と判断したのだろうが、仙谷はあきらめていない。検察や菅首相と結託して、とんでもない謀略を練っている。

◆菅と仙谷と検察はここまで結託している

ある検察事情通が語る。
「仙谷さんは霞が関の官僚に信用され、人気がある。東大法学部出身だからです。しかも在学中に司法試験に合格している。これは仲間内では一種の勲章で、法務省の“赤レンガ組”と呼ばれる官僚たちは仙谷さんに対し、身内意識が強い。仙谷さんが小沢さんのことを執拗に攻撃するのは、その仲間たちから教えられている部分が多いのだと思います」
教えられたこととは何か――。「小沢は潰す、それが検察の総意」ということらしい。確かに、それなら仙谷が「殺小沢」なんてセリフまで使って小沢排除を繰り返した強気の背景が見えてくる。首相の菅も、その仙谷の“検察情報”に踊らされてきたのだろう。
問題は、仙谷が問責問題で力を失う今後の展開だ。普通に考えれば、仙谷が消えると検察も戦意喪失となりそうだが、それとこれはどうも別らしい。
「いま検察は組織の存亡の危機です。大阪地検特捜部のズサン捜査でトップの検事総長のクビが飛ばされ、最も恐れてきた取り調べの可視化ものまざるを得なくなっている。さらに小沢事件が冤罪となったら、これまでの騒ぎや政治混乱は何だったんだとなり、検察組織は二度と立ち直れないほど批判を浴び、解体が避けられなくなる。それだけに、逆に言えば、小沢氏を完全無罪にすることはあり得ないのです。ここが組織防衛の正念場と思っている検察は、小沢氏が政倫審で無難に説明を終えても、マスコミや野党をたきつけ、証人喚問に持っていこうとする。喚問の次は離党勧告、議員辞職騒ぎです。議員辞職したら、何か新しい罪をおっかぶせることだって大ありですよ」(政界事情通)


そのためなら、検察審査会の強制起訴を悪用したり、「検事役」の弁護士とも裁判所とも手を組む。司法一家総がかりの小沢潰しに向かうということだ。
「小沢氏の政倫審出席と前後して、来月7日には大久保隆規元秘書や石川知裕衆院議員の政治資金規正法違反の初公判が始まる。そこで検察は、また『水谷建設からのヤミ献金1億円』を持ち出す予定です。証明もできず、立ち消えになっていたデタラメな疑惑ですが、検察はそうやって1億円疑惑をまたほじくり返すことで、『小沢=クロ』を強調し、国会やマスコミを小沢有罪ムードにもっていく算段なのです。官邸もその流れがわかっているから、菅首相が年頭会見で見当違いと思える『議員辞職』をあえて示唆したわけです」(前出の事情通)
メンツと組織防衛のために小沢潰しに暴走する検察。その尻馬に乗る菅と仙谷。小沢は、政倫審出席で自分の問題をある程度終息させられると期待している。だが、それは甘いかもしれない。連中は謀略めいた国家そのもの。マトモな人間じゃないということだ。




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