前原外相は最低の「風見鶏」だ (日刊ゲンダイ2011/1/13)

◆菅・仙谷一派から逃亡

この男に「信念」を求める方がばからしくなってくる。4日の年頭会見から「小沢問題が民主党の全てなのか」と切り出した前原誠司外相(48)。「小沢元代表を切り口に党に亀裂が入っていると見られるのは心外。(小沢問題を)卒業することが、危機的な日本の置かれている状況において大事だ」と、小沢切りに突っ走る菅首相や仙谷官房長官らと距離を置く発言に終始していた。

前原は「政治とカネの問題は大事なテーマだが、政権が信頼されるために大事なことは政策の中身だ」とまで言っていた。つい、この間まで「反小沢」の急先鋒だった男が、ウソのようなトーンダウン。ついでに言えば、前原は菅が元日に開いた公邸新年会も欠席していた。

前原の姑息な魂胆は、民主党の同僚議員にも見透かされている。ある議員が言う。
「前原氏が菅・仙谷ラインと距離を置き始めた理由は単純です。これ以上、小沢派vs.反小沢派の泥仕合に巻き込まれるのはご免ということ。ポスト菅を狙う彼にすれば、反小沢派と一蓮托生になるより、静観が得策と踏んだのです」
普天間問題でダンマリを決め込んだ菅が、総理の座を射止めた“悪しき前例”に倣う気だろう。信念に基づいて、小沢批判を繰り広げたのではない。定見を持たず常にそろばんずく。周囲の状況を眺め、自分がどう振る舞えば政治的に都合のいいポジションに立てるかしか眼中にないのだ。
今月6日から10日まで、差し迫った用もないのに米国を訪問。26日からスイスで始まる世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)の出席にも意欲を見せている。やたらに外交日程を詰めているのは、党内抗争から逃げ出す狙いがミエミエだ。
「前原外相は訪米中の8日、フロリダ州知事と会談。自ら、日本の新幹線技術をトップセールスしましたが、海兵隊出身のスコット知事から『民主党は(沖縄の)海兵隊に意地悪しているから購入する気はない』と、コケにされる始末でした。相手国も外遊に逃げる前原氏の企みを見抜いており、とことん日本外交はナメられるばかりです」(外交事情通)

国交相時代はJAL再生や八ツ場ダム問題、中国漁船衝突事件で勇ましい発言を繰り返しながら何も解決できずじまい。その尻拭いをさせられた馬淵大臣が問責を食らうハメとなった。そして今、小沢問題を食い散らかそうとしている“風見鶏”が、ポスト菅の有力候補なんて冗談じゃない。



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