仙谷官房長官交代で揺れる 小沢「強制起訴」後の行方 (日刊ゲンダイ2011/1/13)

◆検察官役は皆「身内」だった

仙谷由人官房長官(64)の交代機運の高まりは、意外な人々にも影響を及ぼすことになりそうだ。ズバリ、小沢一郎元代表の強制起訴に向けて捜査を進めている検察官役の指定弁護士3人である。
主任格の大室俊三氏(61)を筆頭に村本道夫氏(56)、山本健一氏(46)の3弁護士とも、仙谷と同じ「第二東京弁護士会」に所属。あまり知られていないが、全員とも「全友会」という二弁内の同じ人権派の“派閥”に仲良く名を連ねているのだ。仙谷と村本氏は、東大法学部の先輩・後輩でもある。
「東京の弁護士会は3つに分かれ、さらに各会ごとに主義主張に応じた派閥が存在します。会長選などでは派閥ごとに所属弁護士が票の取りまとめに奔走してきました。仙谷氏らが所属する全友会は1970年に発足。当初は学生運動経験者で若い人権派弁護士の集団でしたが、その後、多くの新人弁護士を入会させ、二弁を代表する一大派閥に発展したのです」(全友会関係者)
仙谷はよほど派閥に思い入れがあるのだろう。政界進出後も、年1回開かれる全友会の総会にたびたび出席してきた。

先日、大室氏は「われわれの捜査は政治の影響を受けたくない」と語っていたが、小沢裁判の指定弁護士が揃って小沢憎しの仙谷に近い人物なのだ。政治的意図を勘繰られても、仕方ない。
指定弁護士の選定には、二弁内部からも「仙谷氏の意向が働いたのではないか」との声が聞こえる。二弁所属のある弁護士は「指定弁護士の選定には慎重な意見が多かったのに……」と、こう打ち明けた。
「指定弁護士の人選は、東京だと3弁護士会が1年ごとの持ち回りで担当します。昨年は二弁の番でした。当然『政治色を排除すべきだ』との意見が上がったのですが、フタを開けると、3人とも仙谷氏と同じ派閥の弁護士で驚きました」


◆ハシゴを外された指定弁護士はどうする
ただ、指定弁護士が小沢を起訴しても、裁判が始まれば「無罪」が司法関係者の共通認識だ。さらに仙谷という“後ろ盾”を失えば、指定弁護士はハシゴを外されたようにもみえるが……。大室氏と親しい弁護士は、こう言う。
「大室氏も村本氏も刑事弁護を引き受ければ、弁護士としての中立性を貫くタイプ。たとえ仙谷氏の政治力がそがれても、小沢氏の強制起訴に向け淡々と仕事をこなすだけです。ただ、強制起訴のタイミングは、さすがに政治状況を考慮せざるを得ないようで、内閣改造と通常国会のはざまを縫った来週中にも起訴する見込みです」

小沢の弁護団はきのう(12日)、指定弁護士に改めて聴取で確認したい点などを問う質問状を提出した。指定弁護士は小沢側の聴取拒否を経て、強制起訴に持ち込む構えだが、小沢は全面否認の上、事件の証拠の数も膨大だ。公判前整理手続きでは、証拠の採否などをめぐって激しく対立することが予想される。小沢周辺は「秋にも初公判が開かれれば早い方」と見通しを語る。

いつになれば不毛な裁判闘争は終わるのか。



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