この期に及んで選挙民を愚弄する 菅無能首相の内閣改造

(日刊ゲンダイ2011/1/14)

◆改造内閣の寿命は僅か3カ月

問責された仙谷官房長官を代えるために大騒ぎしてきた内閣改造劇は、本当のカラ騒ぎにすぎなかった。大臣をグルグル横滑りさせただけのしょぼいミニミニ改造。新大臣4人の顔ぶれを見ても、この政権は間もなく終わることがいよいよハッキリしてきた。

だれが考えたって、民主党政権の最大の課題は、バラバラの党内を結束させ、国会審議や統一地方選を乗り切ることである。国会議員722人中、民主党は411人もいるのだから一致結束すれば、何も難しいことじゃない。
ところが菅首相は、民主党政治をどんどんダメにさせ、自民党化することしか頭にないのだ。
今回の改造の目玉は、枝野の官房長官起用と、与謝野の入閣引っこ抜きだというが、そこが狂っている。

よりによって、参院選で民主党を大敗させ、国会のねじれをつくり出した張本人が、なぜ重職の官房長官なのか。選挙のイロハも知らないのが枝野だ。事業仕分けで無能をさらけ出したり、モゴモゴとまともに日本語をしゃべれないように、天下国家を動かす力はない。しかも仙谷の弟分で大の小沢嫌いである。

衆増税党になったのか知らないが、とにかく消費税アップをしたくて仕方ないから、与謝野一本釣りなのである。
経済アナリストの菊池英博氏が言う。
「財務省に洗脳された菅首相は参院選前に消費税アップを言い出し、選挙に大負けした。それでどうやって増税路線を進めたらいいのか分からなくなっている。そんなときに与謝野氏から“オレに任せろ、国会をまとめてやる”くらいなことを言われ、増税路線の答弁をすべて任せるつもりなのです」
統一地方選を前にして、また党分裂と消費税増税路線を鮮明にする菅内閣。支離滅裂が止まらなくなってきた。


◆菅は敵の回し者、民主党を潰すためのスパイか

12日に開かれた民主党の両院議員総会や全国幹事長会議。そこで噴出した声は、「このままでは4月の統一地方選で大惨敗する」「党内対立や内紛をやめて挙党一致だ」というものだった。「マニフェストを引っ込めるなら、解散して信を問え」という声もあった。

だが、それを全部無視して暴走・逆走する菅4人組 これじゃあ仙谷官邸時代と何も変わらないではないか。
「菅政権は、菅、仙谷、岡田、枝野の4人組で仕切っていますが、今後も同じ顔ぶれで牛耳っていくということです。仙谷が退いたといっても、小沢排除と内紛が弱まることはない。党内に半分いる小沢・鳩山グループにあらためてケンカを売るような改造では、統一地方選に向けて何のプラス材料にもなりませんよ」(民主党関係者)
“ミニ仙谷”が新官房長官。迷走停滞政治にウンザリの国民をナメている人事としか言いようがない。


◆支持者を離反させるための改造

いや、与謝野の入閣も重ねて考えると、この改造内閣はさらに選挙民を敵に回し、支持率を落とすことは確実だ。
あらゆる大臣を経験し、自民党の総裁選にも出馬した与謝野は、自民党政治そのもの。しかも永田町一の消費税増税論者だ。菅は「与謝野さんは考え方が民主党と共通」とまでうそぶいた。いつから民主党が大政治。一体何をしたいのか。民主党政権をどうするつもりなのか。たぶん、何も考えはない。政権にしがみついていれば、どうにかなる程度の思いかもしれないが、それも寿命は3カ月だ。

「菅首相には、政治カレンダーがない。ねじれ国会の中で、野党と議論を尽くすというのなら、サッサと仙谷官房長官を代えて、早く国会を開くことが大事なのに、決断がつかず、自分で政治日程を苦しくしている。出たとこ勝負なのです。これからの通常国会も、公明党を懐柔したり、チキンレースに耐えれば、自民党が折れて、予算関連法案も成立できると考えているのでしょう。しかし、小沢叩きが飽きられ、さらに支持率が下がれば、野党はどんどん攻めてくる。そんな中で、統一地方選の候補たちから“菅首相では選挙を戦えない”の声が一斉に上がれば、ジ・エンドでしょう。10年前の森喜朗首相と同じ道です」(政治評論家・有馬晴海氏)

問責が想像以上に効果があると分かった自民党やみんなの党は、イザとなれば、野党が分断される前に、首相の問責決議も仕掛けてくる。西岡参院議長も加担せざるを得ないから、その時点で菅は野垂れ死にだ。どう転んでも、菅の寿命は4月の統一地方選までとみて間違いない。


◆3カ月間続けさせる価値もない

それなのに、自己改革ができず、無駄な改造騒ぎで生き延びを図る無神経。こんな鈍感男は国民の手で早急に引導を渡してやるしかない。
「菅政権になって、民主党らしさは完全に消えてしまった。政権交代の熱気も消えた。一日でも長く総理をやりたい思いしかない菅首相が、強力な後ろ盾を求めてアメリカ、財界、官僚に魂を売り、自民党政治に逆戻りしたからです。しかし、それこそ旧勢力の作戦で、菅首相を操ってマニフェストを捨てさせ、消費税をアップさせ、国民を敵に回させ、民主党を潰そうとしているのです。小沢元代表の力を削(そ)いでおいて、ついに仕上げに入ってきている。これが成功したら、国民が期待して選んだ民主党政権は影も形もなくなってしまうでしょう。しかし、権力欲しかない空き缶の菅首相はそこに気づかないのです」(菊池英博氏=前出)

旧勢力のスパイのごとく、せっかくの政権交代を潰すためだけに存在する菅という男は、民主党支持者の敵、裏切り者だ。

3カ月間生き延びさせる価値さえもない。




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