録音データに生々しい検事のドーカツ 脅された石川聴取と小沢裁判の行方

(日刊ゲンダイ2011/1/17)


これで無罪は決定的

菅再改造内閣の評価を聞いた世論調査で、大マスコミは相変わらず、小沢元代表の“進退”について、意見を問うた。
読売新聞の調査では強制起訴された場合、「議員辞職」が56%、「離党」が25%だったが、つくづく、国民は分かっちゃいない。
検察審査会の「強制起訴」議決は「裁判で白黒つけよ」ということであり、小沢自身が強調するように「逮捕→起訴」されたわけではないのである。それなのに、仙谷前官房長官らは「逮捕→起訴」された国会議員の例を挙げて、「離党」や「議員辞職」を迫っている。それをメディアが垂れ流すものだから、すっかりおかしな世論が定着してしまったのだが、そんな中、「これで小沢無罪は決定的」ともいうべき事実が出てきた。

昨年5月、検察が石川知裕衆院議員を再聴取した際、担当検事が石川に対し、捜査段階で供述した「小沢の共謀」を否定しないように“圧力”をかけていたことだ。新聞はあまり大きく扱っていないが、これは重大事実だ。なにしろ、小沢を強制起訴した第5検察審査会は、子分の石川が小沢の共謀を認めていて、その供述を再聴取でも変えていないことを根拠として、「小沢は怪しい」「裁判を受けるべきだ」と断じたのである。


その石川供述が「検事の強要」となると、話が全然違ってくる。検審の根拠は完全崩壊したわけだ。
「第5検察審査会の議決にはハッキリ、〈(小沢氏を尊敬し、師と仰いでいる石川氏が)再捜査でも(小沢に報告、相談したという)供述を維持していることから、供述には信用性が認められる〉と書かれています。ところが、この供述の裏には検事の脅しがあった。聴取した検事が『再捜査で供述を変えると小沢氏の圧力だと検審は見る。小沢氏は強制起訴になってしまう』などと言ったのです。石川氏はそれをICレコーダーに録音しており、来月7日から始まる自身の裁判でも証拠申請しています。


実は、石川氏がなぜ、再聴取で小沢共謀を完全否定しなかったのかが謎だった。しかし、その裏で圧力があったとなれば納得です。小沢裁判にも重大な影響があるのは間違いありません」(司法関係者)
名城大教授の郷原信郎氏もこう言う。
「検事がそういう文言を使ったのであれば、供述はアンフェアなものとして扱われます。裁判の展開は大きく違ってくるでしょうね。しかし、そもそも、この裁判には無理があって、法律の専門家はみんな、小沢氏は無罪になるという印象を持っている。それがますます、強まってきたということです」


いい加減、国民もこうした実情をよく理解した方がいい。





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