酷評された菅内閣再改造 3月まで持つのか廃材大臣内閣

(日刊ゲンダイ2011/1/17)

無節操変節漢老醜おいぼれの与謝野新大臣の過去の民主党批判攻撃を列挙検証する

―政権交代のマニフェストを撤回するならもう一度総選挙で国民の声を聞けと巷の庶民

「廃材内閣」とは、よく言ったものだ。使い終わって、あとは捨てるだけになっていた人材をカキ集めた再改造内閣。
まあ、老人が何でも悪いわけではないが、参院議長で一丁上がりだった江田五月(69)が法相、同じく過分の衆院副議長までやった中野寛成(70)が国家公安委員長、そして自民党で燃え尽きたはずの与謝野馨(72)が経済財政相として寝返り入閣。さらに財務相放り出しで消えていた藤井裕久(78)まで官房副長官就任というのだから、フザケている、ひどすぎる。「老人ばかり集めて最強体制か」と大手紙も呆れていたが、当然だ。

「菅総理は昨年11月の臨時国会でヘトヘトに疲れた。危なっかしい新人大臣よりも、大ベテランを並べた方が無難で国会運営が楽と判断した」と官邸関係者は明かしたが、そこに大きな落とし穴がある。むしろ、廃材ばかり集めたことで、菅バラック内閣はちょっと揺さぶられただけでペシャッと潰れる運命だ。

集中砲火が確実なのが与謝野新大臣である。すでに自民党はじめ野党全体から「議員辞職」を突きつけられているが、この人の問題は、単に自民党の枠で議員を続けていることの矛盾だけじゃない。民主党政権のことをこれまでボロクソにコキ下ろしてきた前科が多すぎるのだ。どうやって国会答弁で整合性をとるつもりなのか。野党の国対関係者は「攻撃材料には事欠かない」「与謝野さんも問責で追い込める」とニンマリである。与謝野入閣はズバリ、菅が自らボロ内閣に火を放ったようなものなのだ。


◆来週からの通常国会では吊るし上げ

与謝野は過去にどんな民主党批判をしてきたか。
すごいのが、昨年1月に出版した自著のタイトルだ。「民主党が日本経済を破壊する」(文春新書)。ここまで強烈に批判した人物がなぜ敵方の民主党に寝返られるのか。とても正気の沙汰じゃない。著書の中では、「子ども手当などと名前をつけてお金を配っても、親が子供のために消費に回す保証はどこにもない」「民主党のマニフェストは、選挙用の毛ばりのようなもの」とケチョンケチョンだった。
この民主党マニフェストについては、「ほとんど空想、だま



◆与謝野問責確実で3月末には菅はギブアップ

そんな“火薬庫”のような与謝野に対して、大マスコミは甘い。与謝野を迎え入れた菅内閣が消費税アップの大増税路線に踏み出したことを、同じ“財務省一家”の大新聞が評価しているからだ。
だから与謝野の過去の発言との食い違いや、ポスト欲しさに民主党に乗り換えた老醜に対する報道陣の質問はゆるかった。与謝野が「子ども手当の導入当時、民主党は十分説明していなかった」「常に批判的な精神は持ち続けたい」なんて言い訳したのをタレ流して終わりだった。
しかし、来週からの通常国会はそうはいかないのだ。自民党などは完全に倒閣が目的だから、与謝野が火ダルマになるのは確実である。前出の浅川博忠氏が続ける。
「仙谷前官房長官以上に、最初から問責決議のターゲットにされます。野党はどんどん質問を浴びせ、与謝野さんがキレたところをとらえて、参院で問責でしょう。与謝野さんは再改造内閣の柱なので、問責されたら、菅政権は完全に立ち往生です。菅首相は6月までに消費税アップの結論を出したいと言っていますが、3月末に予算が成立した時点か、4月の統一地方選の前には“重大決意”をせざるを得なくなるでしょう」
「持っても3月まで」と言われてきた菅内閣。老醜オイボレ大臣を招き入れたことで、余命はいよいよハッキリしたわけだ。


◆不況悪化の前に解散させる必要

それも自業自得なのだが、しかし、民主党政治に期待し、裏切られた支持者からすれば、こんなオンボロ内閣が一日でも長く続くことさえ許せない。エコノミストの紺谷典子氏が言った。
「この内閣はムチャクチャです。日本は他の先進国と違って、唯一恐ろしいデフレが進んでいる国。経済がどんどん縮んで倒産・失業者を生み出している。デフレギャップを埋めるには、財政出動しかないのに、みんな、財務省のウソにだまされて、大増税緊縮財政に走り出している。一家の大黒柱が病気なのに、家計が赤字だからと、薬や医者を取り上げようとしているのと同じなのです。財務省の“オウム”にすぎない与謝野さんは、国民生活の息の根を止める係なのです」


財務官僚の操り人形になった菅に何を言ったところで無駄だろうが、それなら「消費税アップの前に信を問え」が庶民の声である。明大教授の高木勝氏(現代経済学)もこう言う。
「菅首相は、経済が危機的状況だ、雇用を増やしたいと力んでいる。それなら、あらゆる景気回復策を動員すればいいのに、増税政策しか頭にない。この不況の中で大増税の話ばかりしたら、消費が凍ってしまうだけです。おまけに、国民生活が第一で、官僚支配の無駄を洗い直すと言ってきたマニフェストも撤回するという。まったく、どうかしていますよ。これでは民主党に議席を与えた有権者の期待とかけ離れすぎています。増税路線に舵を切るのなら、解散・総選挙で国民の信を問うのが筋ですよ」

与謝野変節漢大臣の見苦しい国会答弁など見ているヒマはない。3月までと言わず、この裏切り内閣は、即刻、解散・総選挙に追い込み、国民の手で引導を渡してやるしかないのだ。





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