与謝野大臣暴走に閣内大混乱 (日刊ゲンダイ2011/1/20)


◆菅内閣崩壊の時限爆弾


14日の組閣からまだ5日。民主党とはまったく“体質”が違う与謝野馨を入閣させたため、はやくも閣内がバラバラになりはじめている。与謝野大臣が担当する政権の最重要課題「税と社会保障の一体改革」をめぐって、不協和音が広がっているのだ。このままでは与謝野経財相が内閣崩壊の“引き金”になりかねない。
菅首相から「三顧の礼」で迎えられたと思っている与謝野大臣は、就任直後から言いたい放題だ。
民主党は「消費税アップは鼻血も出ないくらい無駄をカットしてからだ」と訴えてきたが、与謝野大臣は18日の民放で「まず無駄を省きましょう、その次は経済成長しましょう、それから消費税増税というのは、逃げの議論だ」と、民主党の党是を完全否定。

さらに、これまで民主党がマニフェストに掲げてきた「税による最低保障年金」という年金制度改革についても、入閣初日に「社会保険方式の方が具体的で実現可能性がある」とバッサリ切り捨てた。
民主党が訴えてきた政策を、何から何まで否定しはじめている。さすがに、これには閣内からも異論が噴出。
野田佳彦財務相は「ベースは最低保障年金だ」と異を唱え、細川律夫厚労相も「マニフェストで約束したことを基本に考えるべきだ」と発言。さらに、玄葉光一郎国家戦略相は「あくまでベースは民主党案の最低保障年金ですよ」と、わざわざ与謝野大臣にクギを刺している。


◆6月に消費税「大幅アップだ」

「このままでは収拾がつかなくなると慌てたのでしょう。きのう(19日)、『税と社会保障の一体改革』の関係閣僚が


集まり、内容は与謝野、野党との調整は玄葉、総括は枝野官房長官という“役割分担”を決めています。党内には、これ以上、与謝野大臣に勝手に暴走されてはたまらないという空気が広がっています」(民主党事情通)
しかし、この先、与謝野経財相が自重するとは考えづらい。
「もともと『自分の政策は間違っていない』と思い込んでいる与謝野大臣は、政策については一歩も引かないところがある。きのうも、6月には消費税率の上げ幅と導入時期を明記すると表明しています。党内の反対などお構いなしに『消費税の大増税』という持論で突っ走る可能性が高い。問題なのは、与謝野大臣には民主党のマニフェストに対する愛着がまったくないことです。なにしろ『選挙用の毛ばりのようなもの』とバカにしている。しかも『俺は首相から全権委任された』と思っている。実際、首相みずから一本釣りしただけに、与謝野大臣が暴走しても首相は止められないでしょう」(政界関係者)
「ザ・自民党」のような与謝野馨を入閣させたことが、菅首相の命取りになる。政権亡者が自ら墓穴を掘った形だ。





※日刊ゲンダイはケータイで月315円で読める。
この貴重な媒体を応援しよう!
http://gendai.net/