●閣僚がベンアリ与党離脱=新政権刷新求めデモ継続-チュニジア
(時事通信2011/01/20-22:03)http://p.tl/8JCj
 【チュニス時事】チュニジア国営テレビは20日、ガンヌーシ首相率いる暫定的な新政権の閣僚が、ベンアリ前大統領の与党・立憲民主連合(RCD)から離党したと報じた。AFP通信によると、離党したのは8閣僚。新政権として民衆の反発をかわす狙いがあるが、ベンアリ体制の完全排除を求めるデモが続いており、情勢沈静化にはつながっていない。
 野党の4閣僚は、新政権の布陣に抗議して既に辞任しており、新政権は、ベンアリ体制からの決別を求める民衆の要求を満たしていないとみられている。一方、国営TAP通信によると、ベンアリ前政権から務めてきたダッファル国務相が新たに辞任した。
 首都チュニス中心部のブルギバ通りではこの日も約千人のデモがあり、内務省やRCD本部に向け、「RCD排除を」と叫びながら行進。同本部を警備する治安部隊が上空に向けて威嚇射撃した。



●チュニジアで暴動、少なくとも19人が死亡
(CNN.co.jp 1月11日12時33分配信) http://p.tl/CV10

チュニジア・チュニス(CNN) チュニジア政府は10日、中部の都市タラとカスリーヌで高失業率や劣悪な生活環境に抗議するデモが発生し、ここ2日間でデモ参加者19人が死亡、警察官30人以上が負傷したと発表した。

国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは、週末の間に少なくとも23人が死亡したと発表。10日の時点で死者数がさらに増えたとの情報を入手したとしている。同団体は、治安部隊が催涙ガスや実弾でデモ参加者を追い払ったとし、「当局は正当防衛だと主張しているが、死者数の増加や治安部隊によるデモ映像の隠蔽(いんぺい)が今回の事態に深刻な疑問を投げかけている」と指摘している。

チュニジアで23年間政権を握っているベンアリ大統領は、腐敗政治や人権侵害を理由に人権団体などから非難の的とされている。同大統領は暴動発生後2回目となるラジオ、テレビを通じた演説で、30万人の雇用を創出し、メディアの自由を拡大するなどの方針を発表した。

チュニジアの失業率は現在14%だが、大学卒業者の失業率が約25%と高いことが真の問題だという。

一連のデモは12月上旬、失業中の大卒男性(26)が政府建物前で焼身自殺をしたことに端を発する。アムネスティによると、男性は自殺する直前、許可なく果物を販売していたとして警察に荷車を没収されていた。



●再送:チュニジアの暴動で14人死亡、政府は大学など無期限で閉鎖
(ロイター 1月11日13時55分配信) http://p.tl/870J

 [チュニス 10日 ロイター] チュニジア政府は10日、国内数カ所で発生した暴動で14人が死亡したことを受け、全国の大学と高校の閉鎖を命じた。期限は定めていない。

 ロイターの記者によると、首都チュニスでは、学生が抗議活動を行うのを防ぐため、機動隊が大学を包囲する状況が続いている。

 チュニジアの地方都市では先週末、高い失業率に不満を抱えた学生などが暴徒化し、警察と衝突。目撃者の話では、地中海沿いの都市ビゼルトでは数百人の若者が職業安定所を攻撃したほか、警察車両などに放火した。チュニスでは今のところ、大規模な暴動は起きていない。

 同国のジン・アビディン・ベンアリ大統領はテレビ演説で、雇用創出のため緊急措置を取ると発表した一方で、暴力的な抗議活動は許されないと強調。今回の暴動は、同国に危害を加えようとする海外組織によって計画された「テロ行為」であると非難した。

 政府は9日、暴動が集中した地域に軍部隊を投入しており、これ以降、大規模な暴動は発生していないという。


●次期選挙、不出馬表明=「引退」で暴動沈静化図る―チュニジア大統領
(時事通信 1月14日(金)6時8分配信) http://p.tl/DKVF
【エルサレム時事】各地で暴動が発生し、治安部隊との衝突で多数の死傷者を出しているチュニジアで13日、ベンアリ大統領が国民向け演説を行い、2014年の次期大統領選に立候補しない意向を表明した。ロイター通信が伝えた。23年間続く長期政権への反発が高まる中、「引退表明」で、事態の沈静化を図る狙いがある。同大統領は治安部隊に対し、デモ隊などに銃器を使用しないよう命じた。
 ロイターによると、憲法の規定で大統領選への出馬は75歳以下に限られる。現在74歳のベンアリ大統領は次の選挙には出馬できず、憲法を改正するとの観測が出ていたが、同大統領は「憲法の年齢規定を変更しない」と強調した。
 暴動の背景には、高い失業率や物価上昇などがあるとみられ、ベンアリ大統領は、パンや牛乳、砂糖の価格を下げると語った。さらに、報道の自由の保障、インターネットサイトの閲覧制限の解除なども表明した。



●チュニジア大統領が国外脱出、87年から独裁
(読売新聞 1月15日3時17分配信) http://p.tl/itFR
 【カイロ=田尾茂樹】北アフリカ・チュニジアのジン・アビディン・ベンアリ大統領(74)は14日、退陣要求デモが全土に拡大する中、国外に脱出した。

 これにより、23年にわたって強権手法で国を治めたベンアリ大統領の体制は幕を閉じた。ガンヌーシ首相は同日、国営テレビを通じ、自らが暫定大統領として職務を引き継ぐと明らかにした。

 ベンアリ氏は15日未明、サウジアラビアのジッダに到着。事実上の亡命とみられる。サウジアラビア王室は声明で、ベンアリ氏の到着を歓迎すると表明した。

 在チュニジア日本大使館は在留邦人186人(昨年10月時点)らの安否を確認中。同大使館によると、日本の団体旅行4グループの日本人参加者が首都チュニスなどのホテルで足止めされ、外出できなくなっている。計160人以上に上るとみられる。今のところ、トラブルに巻き込まれたとの情報はない。



●<チュニジア>独裁23年、国民の不満爆発 軍部も同調
(毎日新聞 1月15日12時17分配信) http://p.tl/y1ID

 【カイロ和田浩明】23年間にわたって独裁体制を敷いたチュニジアのベンアリ大統領がサウジアラビアに出国し、政権が崩壊した。物価の高騰や汚職などを背景に抗議デモを続けた国民による不満の爆発と、国民の退陣要求を無視できなくなった軍部の介入が、デモ開始から約1カ月での異例の政権崩壊につながったとみられる。

 ベンアリ氏は14日夕に家族と飛行機で出国。旧宗主国フランスへの入国を希望したとされるが、ロイター通信によると、仏政府当局は「(入国を)望まない」と拒否。同氏は15日未明、サウジアラビア南西部のジッダに到着した。

 現地からの報道によると、暫定大統領に就任したガンヌーシ首相はテレビ演説で、「早期に実施される選挙まで大統領代行を務める」と発表。治安回復への協力を国民に呼びかけるとともに、国内各勢力と協議して政治、経済の改革を進める意向を表明した。

 大統領退陣の背景には、デモ隊への発砲など強硬な取り締まりを求めた大統領に反発した国軍幹部の介入があったとの情報がある。

 ベンアリ氏は13日、14年の大統領選不出馬や民主化を約束。14日には内閣総辞職や議会選挙の半年以内の前倒し実施などを決めたが、退陣を求める国民の声は収まらず、非常事態宣言と夜間外出禁止令を出す事態に追い込まれていた。

 これに対し、米国のオバマ大統領は14日の声明で、変革を求めるチュニジア国民の支持と、混乱の平和的解決を呼びかけていた。

 チュニジアの混乱は昨年12月中旬、生活のための野菜販売を摘発された若者が焼身自殺を図ったことをきっかけに地方都市で警察署などの焼き打ちが発生。

 暴動は1月に入って激化し、首都チュニスでも数千人規模の抗議デモが発生。政府発表では、デモ鎮圧などで市民ら23人が死亡した。14日も内務省周辺に市民約5000人が集まり、大統領退陣を求めた。



●チュニジア暫定大統領に下院議長、60日以内に選挙実施へ
(CNN.co.jp 1月16日9時51分配信) http://p.tl/46yn

チュニス(CNN) 全国的なデモを受けてベンアリ大統領が国外脱出したチュニジアで15日、憲法の規定に従いムバッザア下院議長が暫定大統領に就任した。国営テレビによると、60日以内に大統領選が実施される。

ムバッザア氏はテレビ演説で「新たな時代」の到来を宣言。民主主義や多元性を包含し、憲法を守りつつ国益を追求すると述べ、国家の「安定性」を高めることに尽力すると語った。暫定政権の首相にはガンヌーシ氏の続投を求めた。

一方、ベンアリ氏はサウジアラビア西部ジェッダに到着し、国王の歓迎を受けた。同国王室は、「チュニジア国民を全面的に支持する」との声明を発表した。

チュニジア各地の都市には多数の軍兵士が展開している。15日は首都チュニスの街頭にデモ隊の姿はなかったものの、市内の鉄道駅が放火され、全国各地で暴動や略奪が起きたとの報告があった。東部の都市では刑務所で原因不明の火災が発生し、少なくとも42人の死者が出たとされる。

隣国リビアの最高指導者カダフィ大佐は15日夜、デモは犯罪組織の仕業だと述べ、ベンアリ氏への支持を表明。チュニジア国民が「取り返しのつかない大きな損失」を出したとして、「正気が戻り傷が癒えることを願う」と述べた。

フランスのサルコジ大統領は声明で同国との「友好的なつながり」を強調し、早期の選挙実施を呼び掛けた。アフリカ連合(AU)は15日、チュニジア国民との「連帯」を表明し、「デモ隊に対する過度の武力行使」に遺憾を表明した。



●アラブ諸国の指導者、チュニジア政変受けた新秩序への対応迫られる
(ロイター 1月17日17時58分配信) http://p.tl/Udf4
 チュニジア国民が反乱を起こし、25年間権力の座にあったベンアリ大統領を国外追放に追い込むライブ映像は中東全域で放送され、国民を抑圧してきたアラブの指導者を慌てさせたにちがいない。

 アナリストや野党政治家、一般市民は、チュニジアの反乱は他国に広がる可能性があると指摘する。チュニジア国民と同様、多くのアラブ人は物価高騰、貧困、高い失業率、人口増加、国民の声を無視する統治制度にいら立ちを募らせている。彼らの指導者はもはや、低所得者の窮状を無視することだけでなく、反抗的な国民を暴力で制圧することもできないという。

 サウジアラビアの反対派活動家Mohammed al-Qahtani氏は「チュニジアでの展開は地震のようだ。アラブの統治者はある程度の自由を与え、雇用や教育などを提供することによる支配体制の緩和に努めるだろう。その後、再び抑圧的になるだろう」と指摘した。

 アラブの大衆はいま、自国政府の古い統治手法の受け入れに消極的になっている可能性がある。チュニジアの首都チュニスからのテレビ映像に驚いた多くの人々は、自国で同じ事態が起こるかもしれない、と考えている。

 アラブ首長国連邦(UAE)の討議フォーラムUAE Hewarで、ある解説者は「圧制者は永遠には続かない。これはすべての独裁政体に対する明確なメッセージだ」と語った。

 匿名を希望するエジプトの退役軍人は「チュニジア人は自分たちで問題に対処し、自らの運命を切り開く勇気を持ち、弾圧に『ノー』と言った」と述べ、「エジプト国民もチュニジア国民と同様の境遇にある。このことは、エジプト国民全員に同じ行動を取るよう奨励している」と語った。

 <情報時代の新たな武器>

 アラブ地域のソーシャルネットワーキングサイトでは、行動を呼び掛ける声が広がっている。ツイッターやフェイスブックは、これまで国民向けの報道を統制してきたアラブ政府に対するルールを変更した。

 バーレーン議会の野党議員であるJasim Husain氏は「情報が自由に流れる時代に、いつまでも人々を経済的メリットで買収することはできない。いまや人々は比較ができる」と語った。

 ムバラク大統領(82)が30年にわたり政権を握るエジプトでは、フェイスブック上で「各大統領に飛行機を準備するプロジェクト」という名のサイトが立ち上げられたほか、複数のサイトが同大統領に荷物をまとめ始めるよう求めている。

 あるフェイスブック利用者は「もううんざりだ。われわれはこれ以上、わが国をわれわれの手から放さない」と発言。

 別の利用者は、国外逃亡したチュニジアのベンアリ大統領に、「飛行機はあなたも待っている」とムバラク大統領に伝えてもらおう、と呼び掛けている。

 フェイスブック利用者のMaha al-Gamal氏は「飛行機1機を飛び回らせて、全員を乗せてしまおう」と発言した。

 ただ、チュニジアの政権崩壊で警戒を強めたアラブ諸国の指導者が、物価高騰や政治的抑圧に対する人々の怒りを鎮めるには、難しい選択も伴う。

 ブルッキングス・ドーハ・センターのシャディ・ハミド氏は「政権が何をしようと、彼らは危機的状況にある」と指摘。「政治的開放を進めると、反対が強まるリスクがある。一方、政治的チャンネルを閉じれば、長いあいだ積もった不満がある日、前触れなく爆発するという、チュニジアの事態に陥るリスクがある」と語った。 

 多くのアラブ諸国は、価格高騰への怒りの声を受け、食料品などへの助成金支給を段階的に打ち切る計画を延期あるいは中止する可能性がある。

 これは、アラブ地域の債券を購入する海外投資家が懸念している赤字拡大を悪化させるほか、経済成長と雇用創出を目的とした改革を阻害する可能性がある。ただ、こうした長期的な懸念はさほど考慮されない可能性が高い。

 ヨルダンやリビヤなど一部のアラブ諸国は、アナリストがチュニジア型の暴動が起こる可能性を指摘していたが、すでに物価上昇を食い止める措置を講じている。

 エジプトは助成金縮小計画を見直す可能性がある。ただ、同国の経済改革は大統領選が今年実施されることによる先行き不透明感ですでにペースが落ちている。ムバラク大統領は6期続投を目指すかどうかをまだ表明していない。

(Edmund Blair記者;翻訳 高橋恵梨子;編集 内田慎一)


●アラブで抗議行動拡大 エジプトなど焼身自殺相次ぐ
(産経新聞 1月18日7時57分配信) http://p.tl/Z4cB

 【カイロ=大内清】アラブ諸国で、チュニジアの政変に触発されたとみられる抗議行動やデモが広がっている。

 エジプトの首都カイロでは17日朝、議会前で、東部イスマイリーヤのレストラン経営の男性(49)が自身に火をつけ重傷を負った。男性は当局から配給のパンを受け取れず生活に窮していたという。一部の地元紙は、治安当局者が男性の火を消し止める様子をとらえた動画をウェブサイト上で公開、それを見た市民に衝撃を与えている。

 チュニジアでは昨年12月、大学卒業後に物売りをしていた男性(26)が警察に抗議して焼身自殺を図り、後に死亡。インターネットなどを通じて若者の怒りを呼び、大規模なデモに発展した経緯がある。

 フランス通信(AFP)によると、ブーテフリカ大統領が1999年から政権を握るアルジェリアでも16日、市長に失業問題を訴えようとして面会を拒否され、自らに火をつけた無職男性(37)が死亡した。アルジェリアでは過去1週間で4人が同様の方法で自殺を図っている。また、モーリタニアでも17日、男性(42)が政府に不満があるとして、首都ヌアクショットの議会前で焼身自殺を図ったという。

 イスラム教では自殺を禁じており、イスラム教徒がほとんどを占めるアラブ諸国での焼身自殺は異例だ。

 一方、20年以上の強権支配が続くイエメンの首都サヌアでは16日、学生約1千人が「政権打倒」を呼びかけ行進。王制のヨルダンでも同日、リファイ首相退陣を求める3千人規模のデモが行われた。



●チュニジア暫定政権発表、首都の混乱続く
(CNN.co.jp 1月18日10時21分配信) http://p.tl/Uwv2

チュニス(CNN) 大統領の国外脱出で混乱が続くチュニジアのガンヌーシ首相は17日、与野党の連立による新政権の布陣を発表した。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、チュニジアは可能な回切り早期に秩序を取り戻さなければならないと訴えている。

新政権にはガンヌーシ首相が留任し、19人の閣僚に野党から3人、無所属の10人が入閣した。新体制で選挙の実施を目指す。

首都チュニスではこの日も抗議デモが続き、大通りに約2000人が集結。与党本部に向かおうとするデモ隊に対し、警官隊が催涙弾を発射した。

潘事務総長はアブダビで記者団に対し、チュニジアの新政権は人権を守り、言論と集会の自由を保証しなければならないと強調。現在も衝突が続き、犠牲者が出ている点を「強く懸念している」とした。

チュニジアでは貧困、失業、政府の腐敗と抑圧に対する抗議デモが広がり、23年にわたって同国を支配してきたベンアリ大統領が14日にサウジアラビアに脱出。翌15日にムバッザア下院議長が暫定大統領に就任している。

留任が決まったフリア内相は国営テレビで演説し、過去数週間の衝突による死者は78人、負傷者は94人に上り、この中には警官多数が含まれると語った。市民に対しては暴動をやめて警察に協力してほしいと訴え、過去の過ちには厳しく対処すると言明している。今回の混乱に伴う損失が30億チュニジア・ディナール(約20億米ドル)に上るという試算も明らかにした。



●チュニジア新政権「変化」アピール ブロガーも入閣
(産経新聞 1月18日19時12分配信) http://p.tl/kdVY

 【カイロ=大内清】民衆の抗議行動で政権が転覆したチュニジアで、メバザア暫定大統領から組閣要請を受けたガンヌーシ首相が17日、新内閣の布陣を発表、複数の野党指導者のほかベンアリ前政権で拘束されていた著名ブロガーが政権入りするなど、新政権の「変化」をアピールした。その一方で主要ポストには与党・立憲民主連合(RCD)の閣僚が留任しており、反RCD感情が強い国民の信頼を得られるかはなお不透明だ。

 ガンヌーシ氏は閣僚発表と合わせ、国内の情報統制を担ってきた情報省を廃止しメディア活動を完全に自由化することや、すべての政治犯を釈放することを約束。当初は2カ月以内に行うとしていた大統領選については、「準備期間が必要だ」とする野党側に配慮し、議会選とともに6カ月以内に実施するとしている。

 新内閣では、ベンアリ前政権と対立してきた民主進歩党のアハマド・シェビ氏ら3人の野党指導者が入閣する。ベンアリ前大統領への痛烈な批判で知られ、政府機関のウェブサイトをハッキングしたとしてベンアリ氏亡命の直前まで拘束されていたブロガー、スリム・アマモウ氏も青少年・スポーツ相次官に任命された。

 今回の政変では、会員制交流サイト「フェースブック」やブログからの情報が高失業率などに不満を抱く若者の動員に大きな役割を果たした。アマモウ氏の起用には、政変の「原動力」となった若者の支持を取り込み、政権の安定につなげたいとの狙いがありそうだ。

 組閣では、ベンアリ前政権で非合法とされたイスラム主義政党「ナフダ」や共産系政党は引き続き排除された。ガンヌーシ首相は18日、ロンドンに亡命中のナフダ指導者、ラシド・ガンヌーシ氏が1991年に終身刑の判決を受けていることを理由に同氏の帰国を認めない考えを示した。

 他のアラブ諸国に比べ世俗化が進んでいるチュニジアでは、イスラム主義勢力の影響力は強くないとされるが、ナフダ指導者は政治プロセス参加に意欲を示しており、今後の火種となる恐れもある。

 一方、フリア内相は、17日夜、約1カ月続いてきたデモや暴動の死者が計78人に達したと明らかにした。略奪や観光客の減少などによるチュニジア経済へのダメージは約30億チュニジアディナール(約1730億円)に上るという。


●<チュニジア>与党から暫定大統領ら離党 批判かわす意図か
(毎日新聞 1月19日10時33分配信) http://p.tl/4AFk

 【チュニス和田浩明】チュニジアのメバザア暫定大統領とガンヌーシ首相は18日、与党・立憲民主連合(RCD)からの離党を表明した。一方、RCDは、ベンアリ前大統領と側近らを除名した。国営テレビなどが報じた。17日に発足したばかりの新政権に、旧政権の主要閣僚が残留したため強まった国民の批判をかわす意図があると見られる。しかし、ベンアリ独裁政権を支えたRCD排除を求める声は強く、首都チュニスを含む全国の主要都市では18日も抗議デモが展開された。また労働組合系や野党系の4閣僚が同日、辞任を発表した。

 国営TAP通信によると、離党は17日に決定された政府と党の分離に基づく措置。メバザア暫定大統領の指示で「挙国一致」を目指した新政権だったが、野党勢力の参加は限定的で、ベンアリ氏側近だったガンヌーシ首相ら主要閣僚が留任。反発した国民の抗議デモが続いている。

 抗議デモはチュニスのほか10以上の都市で発生。北部にあるイスラム教の古都カイラワンでは、住民がRCD支部を占拠したという情報もある。

 ベンアリ政権崩壊をもたらした反政府デモを組織した全国労働組合「UGTT」も新政権不支持を決めた。また、国外追放中の野党指導者で大統領選に出馬する意向を示したモンセフ・マルズーキ氏が18日に帰国し、RCDを排除した政権作りを訴えた。

 一方、空港閉鎖などの混乱で足止めされていた日本人旅行者約200人の大半は18日までに出国した。



●焼身自殺連鎖 アラブ諸国、非難と同情 チュニジア政変後
(産経新聞 1月19日18時55分配信) http://p.tl/gGfG

 若者の焼身自殺に端を発したチュニジアの政変後、エジプトをはじめとするアラブ諸国で焼身自殺を図る者が相次いでいる。自殺を宗教上の大罪と考えるイスラム教徒が多数派の国々で、抗議の手段として自殺を選ぶことはどう受け止められているのか。(カイロ 大内清)

 「イスラムでは、いかなる理由があっても自殺は許されない」

 カイロにあるイスラム教スンニ派最高権威アズハル機構は18日、声明を出し、イスラム教徒にとっての“常識”を強調した。

 しかし現実にエジプトでは17、18日の2日間で3人が生活苦などへの抗議から自身に火をつけ1人が死亡。アルジェリアでは19日までの1週間余で7人が、モーリタニアでも1人が同様の方法で自殺を図った。

 アズハルがわざわざ声明を発表したのも、自殺の連鎖とそれによって引き起こされる社会不安を懸念しているからにほかならない。

 焼身自殺を図った人たちの心情についてカイロ大のアマニ・マサウード助教授(社会学)は「不正に対する抵抗として死ぬことは、いわば『殉教』だと考え正当化しているのではないか」と分析する。

 エジプトでは約30年間にわたりムバラク大統領と与党・国民民主党が権力を掌握、強大な警察力によって治安維持におおむね成功してきた半面、しばしば恣意(しい)的な逮捕や拷問も指摘される。経済自由化が加速した2000年代以降は貧富の差が一段と広がり、人口増加や急速な都市化で失業問題も深刻化している。

 同様の問題はアラブ諸国の多くが抱えており、国民には閉塞(へいそく)感が漂う。そんな中での自殺は強権的な政権に対する正当な「対抗手段」というわけだ。そこには、多くのイスラム過激派組織が、自爆テロ実行者を自殺者ではなくジハード(聖戦)の殉教者として称賛する心理に通じるものがある。

 実はイスラム社会でも自殺は珍しくない、とする向きもある。エジプトの野党系紙アルワフド(電子版)は、結婚資金が作れないことを悲観し自殺した若者の例などを列挙し、自殺のニュースは「一時的に紙面をにぎわしても、じきに消えるものだ」と論じた上で、エジプトで自殺問題が大規模な暴動に発展する可能性は低いとの見方を示した。

 ただ「やっかいなのは生活苦を訴えての自殺の場合、一方的に批判はしづらいことだ」とマサウード助教授は指摘する。「多くの人が同じ境遇にあり、自殺者への同情も生まれる。(一連の焼身自殺に対する)人々の気持ちは非難と共感が入り交じったものだろう」と語り、今後どのような反応が生まれるかは予想できないとしている。