●BBC 被爆者をコメディーに
NHKニュース2011年1月21日 21時15分) http://p.tl/Dp_F
イギリスの公共放送、BBCが先月放送したコメディー番組の中で、広島と長崎で2度、原爆の被害に遭った被爆者の男性を「世界一不運な男」などとして取り上げたことに対し、ロンドンの日本大使館は「不適切で配慮を欠く」とBBCに対して抗議しました。
この番組は、BBCの人気コメディー番組「QI」で、クイズ形式をとりながら出演者がジョークを交え、番組を進めていきます。この番組の先月17日の放送の中で、広島と長崎で2度、原爆の被害に遭い、去年1月に亡くなった長崎市の被爆者、山口彊さんが「世界一運の悪い男」として取り上げられました。番組の中で、司会者は、仕事で広島に出張していた山口さんが被爆してやけどを負い、列車で長崎まで帰った経緯を説明して、「そこでもう一度原爆が落ちたんだよ」と言うと、スタジオから大きな笑いが起きていました。ロンドンの日本大使館は、番組を視聴していたイギリスに住む日本人から指摘を受け、今月7日にBBCと番組の制作会社に対して、「こういった形で被爆者を取り上げるのはまったくもって不適切で、日本国民の感情への配慮を欠いている」とする抗議の書簡を送りました。これに対して、番組のプロデューサーから、書簡が21日、日本大使館に届きました。この中では、「決して日本の方の気分を害する意図はなく、不快な思いをさせたことは極めて遺憾に思います。山口さんをからかう意図ではなく、彼のあまりに驚くべき経験を正確に伝え、そういった状況でもめげない日本の方々に敬意を表する趣旨でした。この件について、日本の方々がいかに敏感かを私たちが過小に見ていたことは明らかです」などと遺憾の意を表明しているということです。広島で被爆し、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の代表委員を務める坪井直さんは「核兵器による被害の恐ろしさを分かっておらず、被爆者のことを何だと思っているのかと腹立たしくなる。被爆者たちが世界各地で核兵器の廃絶を訴えているのだから、海外でも理解してもらえたと思っていたが、それは間違いだった」と話していました。長崎原爆被災者協議会の山田拓民事務局長は「イギリスにも核兵器廃絶のために活動している人たちがいることを知っているので、そういう国ではないと思っていたが、被爆者を笑いの番組の対象にするなど信じられない。被爆者をなんと思っているのかと感じる。放送内容を確認したうえで、必要であれば私たちもきちんと抗議しなければならない」と話しています。山口彊さんの長女で、長崎市の山崎年子さんは「核保有国のイギリスで被爆体験を笑われるのは許せない。原爆の恐ろしさが、まだ世界には伝わっていないということだと思う。みたび原爆が落とされることのないよう、訴えていきたい」と話していました。


●日本の二重被爆者を嘲笑=BBCテレビ、謝罪―英
(時事通信 1月22日(土)8時55分) http://p.tl/lFDT
 【ロンドン時事】英BBCテレビのお笑いクイズ番組で、広島と長崎で被爆した「二重被爆者」の故山口彊さんを「世界一運が悪い男」などと笑いの種にしていたことが21日までに分かった。BBCは在英日本大使館の抗議を受け、謝罪した。
 この番組は昨年12月に放映された。山口さんが出張先の広島で被爆し、長崎に戻るとまた原爆が投下されたと司会者が述べると、スタジオの芸能人や観客が爆笑したという。
 番組を見た在英邦人が日本大使館に連絡し、大使館が抗議した。番組プロデューサーから、山口さんを笑いものにする意図はなかったなどと釈明、おわびする手紙が届いた。



●二重被爆者「世界一運が悪い」BBCお笑い番組
(読売新聞 1月21日(金)20時2分) http://p.tl/p6nF
 【ロンドン=大内佐紀】英BBC放送が昨年12月放映した人気お笑いクイズ番組で、日本の被爆者が笑いのタネにされ、在英日本大使館が抗議していたことが20日、わかった。
 金曜夜の人気番組「QI」で12月17日、「世界一運が悪い男」として、広島と長崎で二重に被爆し、昨年1月に93歳で亡くなった長崎市出身の山口彊(つとむ)さんを取り上げた。司会者が「出張先の広島で被爆し、列車に乗って戻った長崎でまた被爆した」と説明すると、ゲストらが「でも、93歳まで長生きしたなら、それほど不運じゃない」「原爆が落ちた次の日に列車が走っているなんて、英国じゃ考えられないな」などとコメント、会場から笑い声が上がった。
 在英日本大使館は今月7日、抗議の書簡をBBCと製作会社に送った。17日になって製作会社から「配慮に欠けていた」などとする返答があったが、BBCからは回答がないという。