菅 現実逃避で大勲位気取り  (日刊ゲンダイ2011/1/25)

ついにおかしくなったか!

国会はねじれ、党内もガタガタ。政権にとって最大の仕事である予算成立すら危ぶまれている。普通なら参ってしまう局面なのに、菅首相はやけに強気だ。きのう(24日)の施政方針演説も自画自賛の嵐。とうとうおかしくなったのか。

「完璧に官僚主導の演説。自民党とどこが違うのか」
みんなの党の渡辺喜美代表にコケにされた菅の演説が、よほど退屈だったのか。仙谷前官房長官や渡部恒三最高顧問もコクリコクリと舟を漕いでいたが、菅は「私の内閣」の実績を恥ずかしげもなく列挙した。さらに「あれもやる、これもやる」と大風呂敷を広げ、揚げ句に「国民の負担増は避けられない」と言い放ったのだ。

自分の無能ぶりをタナに上げてよく言うよ、だが、このところ、菅は強気の発言が目立つ。昨年までのオドオドぶりがウソのように高圧的な態度に出ているのだ。施政方針演説に先立って開かれた両院議員総会でも、小沢元代表に離党勧告を突きつけることをにおわせた。
「先の臨時国会で、総理が一番苦労したのが、小沢さんの問題と仙谷さんの問責への対応でした。両方を切ることで、霧が一気に晴れたような気分でしょう。それに、消費税とTPPを内閣の重要テーマにすれば、大メディアが味方についてくれる。これで消費税増税の道筋がつけば自分の手柄になるし、もしポシャっても与謝野さんに全部押し付けてしまえばいい。重荷から解放されて、浮かれ気味なのです」(民主党関係者)

◆「与謝野が入れば3分の2」とノーテンキ

与謝野の会派入りで、衆院での法案再可決に必要な「3分の2」をギリギリ回復したことも、自信の源になっているという。菅が側近に「3分の2を使えば、国会はどうにでもなるんじゃないか」「こんな国会、バカでも乗り切れる」と言ったとする報道もあった。自分を「バカ」と認識しているかはともかく、あまりにノーテンキで呆れてしまう。
「最近は、中曽根大勲位に自分をなぞらえています。大勲位は弱小派閥から総理になり、徐々に田中派の影響力を排して長期政権を樹立。売上税の導入失敗で支持率が急降下しても、人気を取り戻し、今なお政界に影響力を残している。菅総理の頭の中では、田中派=小沢グループ、売上税=参院選での消費税発言なのです。事あるごとに寺田補佐官ら側近を大勲位に遣わし、意見をたまわっている。大勲位の後ろ盾を得た気になって、有頂天です」(官邸関係者)

もっとも、菅がアホみたいにハシャいでいるのは「むしろ、追い詰められている証左だ」とみるのは、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏だ。
「ねじれ国会を乗り切る見通しが立ったわけでも、戦略があるわけでもない。『3分の2』と言いますが、社民党が賛成に回る保証はありません。統一地方選を控え、公明党だって民主党政権とは組みづらい。菅首相は、いつ政権から引きずり降ろされるか分からない恐怖で、頭に血が上っているのだと思います」

だいたい、小沢が離党すれば「3分の2」も使えなくなるのだ。こんな簡単な計算もできないくらい、菅が判断力を失っているのは間違いない。



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