与謝野「死に神大臣」の暴走を許してはダメだ!

(日刊ゲンダイ2011/1/28)

「平成の議席泥棒」

「平成の議席泥棒」が「微力だが全身全霊を傾ける」なんてホザいている。与謝野馨経済財政担当相(72)の衆参本会議での演説である。きのう(27日)は参院で所信表明をしたが、声はかすれ、ワンフレーズごとに息継ぎ。こんな病み上がりの老いぼれ大臣に社会保障改革を任せ切って大丈夫なのか。与謝野周辺は「体調は万全」と言いふらしているらしいが。
体調以上に問題なのは与謝野の政治家としての姿勢である。繰り返すが、前回の総選挙(2009年8月)で与謝野は自民党の比例代表で復活当選した。有権者は自民党に一票を投じたのである。
「本来なら自民党を離党し、たちあがれ日本を結成した時点で議員辞職すべきでした。それなのに議席にしがみつき、今度はたちあがれを離党して、口汚く批判していた民主党政権に入った。政党政治を冒(ぼう)賣(とく)する行為ですよ」(政界関係者)
そのうえ、就任以降、ブチ上げている社会保障改革、税制改革は自民党時代に逆行する内容だからタチが悪い。「しょせん財務官僚の言いなりでしかない。あの人の主張は、財政再建と消費税アップ、そして最近は年金支給年齢の引き上げにまで言及し始めています。財政再建という錦の御旗のもと、国民にすべての負担を押し付けようという魂胆です。政策通とかもてはやされているが、財務省の意をくんだ財政至上主義者でしかないのです。だから、節々でとんでもないピンボケ発言をしでかしている。リーマン・ショック時には“ハチに刺されたようなもの”と発言し、その認識の甘さが失笑を買ったものです」(経済ジャーナリスト)
こんな男に「全身全霊を傾ける」なんて言われて、「では、よろしく」と受け止める国民は皆無だ。だいたい、与謝野が入閣した内閣はロクなことが起こらない。07年8月、安倍内閣の内閣改造で官房長官になったが、1カ月後に安倍は政権を投げ出してしまった。福田内閣でも改造内閣で経済財政担当相に就任した(08年8月)。ところが、やはり1カ月あまりで福田政権は崩壊。麻生政権では経済財政担当相、財務相。結果は、自民党政権崩壊である。まさに“死に神大臣”である。
菅首相は「(与謝野氏に)一貫しているのは社会保障と税制改革への熱意だ。国民のために党派を超えて改革を実現するためには小異を捨てて大同に就くことが必要と考えた」(27日の参院本会議)と、与謝野起用を正当化してみせたが、政権の命取りになるだけである。“死に神大臣”の暴走を食い止めないと、国民は地獄に突き落とされることになる。



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