岡田幹事長 本心は「離党勧告」反対  (日刊ゲンダイ2011/1/29)

「無罪だったら責任を取れない」

小沢一郎が週明けの31日に強制起訴されることがほぼ固まった。スッカラ菅首相は「待ってました」とばかりに「離党勧告」を突きつけ、一気に民主党から追放するつもりだ。しかし、そんな強引なことをしたら党内が大騒ぎになるのは間違いない。本当に離党勧告など出せるのか。

◆菅首相は真っ青

小沢が強制起訴されたら、野党や大手メディアが「証人喚問が必要だ」「民主党はケジメをつけろ」と騒ぎ立てるのは目に見えている。自民党や公明党は「証人喚問が実現するまで審議に応じられない」と予算審議もボイコットするだろう。国会は「小沢問題」一色になりかねない。
これまで小沢追放にシャカリキになってきた菅首相のことだ。野党の要求を「口実」にして、「国会空転を打開しなければいけない」「党としてケジメが必要だ」などと、もっともらしい理屈をつけて「証人喚問」や「離党勧告」に踏み切ろうとするのは確実。

ちょうど与謝野馨の大臣起用などで野党から攻められていただけに、失政から目をそらさせるためにも「小沢問題」がクローズアップされるのは好都合に違いない。
「菅首相は小沢追放に着々と動いています。党規約では、所属議員の処分は役員会で発議し、常任幹事会で決定することになっている。すでに常任幹事会のメンバーに『反小沢』議員を次々に送り込み、35人のうち25人を『反小沢』で固める人事を19日に終えている。常任幹事会では、小沢シンパの輿石東・参院議員会長などが離党勧告に反対するでしょうが、数の力で押し切れるとみているようです」(民主党事情通)

◆落としどころは「党員資格停止」か

ところが、首相にとって思わぬ誤算が生じ始めている。岡田克也幹事長が「離党勧告」を出すことに反対しているというのだ。幹事長が反対したら、処分するのは困難だ。
「大新聞テレビは、菅直人、仙谷由人、枝野幸男、岡田克也の4人を一くくりにして『反小沢の4人組』と報じているが、権力欲の強い菅、仙谷、枝野の3人と、原理原則論者の岡田とは考え方がまったく違う。3人は小沢抹殺が目的だが、岡田は『疑惑をもたれた小沢さんは国会で説明すべきだ』とスジ論を言っているに過ぎない。彼は、政倫審さえ実現できればいいと思っている。小沢一郎を抹殺しようとは考えていない。菅首相が保身のために離党勧告を強行しようとしたら、『それはおかしい』と反対すると思う」(政界関係者) 実際
、野党が小沢の証人喚問を求めた27日も、「証人喚問は非常に重い。わが党としては実現すべきだとは考えていない」「政倫審での招致議決に協力して欲しい」と、突っぱねている。

「原理原則論者の岡田幹事長が頭を悩ませているのは、小沢は裁判で無罪になる可能性が高いことです。もし、党から追放した後、無罪になったら責任を取れないと思っている。記者会見でも『処分は拙速にやるべきではない』と発言しています。とりあえず『党員資格停止』とし、裁判の結果が出た後、処分を決めればいいというのが本心のようです。郵便不正事件で起訴された村木さんも、起訴された時点で『休職』となり、無罪が確定した後に復職している。なにより、権力維持のために私利私欲で小沢追放に動いている菅首相の薄汚いやり方をおかしいと思っているようです」(民主党関係者)

岡田幹事長の考え方は、誰もが納得する「正論」だが、あとは民主党のなかで正論が通じるかどうかだ。



※日刊ゲンダイはケータイで月315円で読める。
この貴重な媒体を応援しよう!
http://gendai.net/