なぜ小沢は12件もの不動産を所有したのか [国民は騙されている 小沢「強制起訴」の虚構]

(日刊ゲンダイ2011/1/31)

これが疑惑イメージの原点なので違法性などを総ざらいした

東京・世田谷の4億円の土地取引事件で、民主党の小沢一郎元代表の強制起訴が近づいてきた。この事件の具体的な容疑を説明できる一般人は誰もいないだろうが、小沢のイメージを決定的に悪くしているのは、資金管理団体「陸山会」の群を抜く不動産だ。数多くの不動産=不正蓄財=ワルというイメージである。
「陸山会は、94年5月に1億5100万円を投じて元赤坂のタワービルの一室(107平方メートル)を購入したのを皮切りに、04年までの11年間に計12件の不動産を取得しました。購入総額は約10億5000万円。大半が都心の赤坂、麹町、南青山などに集中し、購入時点で1億円を超える『億ション』も3件含まれています。07年の法改正で政治団体による不動産保有が禁止される以前のこととはいえ、これほど大量の不動産を持つ資金管理団体は、陸山会以外には見当たりません」(政界関係者)
しかも、すべて登記簿上は小沢の個人名義。法人格のない資金管理団体は、不動産登記できないという理由のためだ。政治団体が購入した不動産が政治家の死後、遺族に相続された先例もあり、陸山会の物件がいずれ小沢の親族に相続される可能性も残っている。
そのため、大マスコミと自民党は、小沢が民主党代表となった06年から「政治資金を使った不正蓄財だ!」と小沢に集中砲火を浴びせた。国民の間にも「ゼネコンからの不正な献金で不動産を購入し、私腹を肥やしている」といった負のイメージが浸透していった。

極め付きが、土地取引事件で元秘書3人が逮捕された直後、昨年1月18日の読売新聞の報道だ。「不動産を買うのは、小沢の趣味だった」と、逮捕者以外の元秘書の証言を紹介。この元秘書が小沢と車で移動中、小沢が道路沿いのマンションを見て「おお、あそこ、セールになっているぞ」と関心を示したというエピソードまで掲載した。


メディアは小沢に“永田町の不動産王”というレッテルを貼りたくて仕方がないのだ。
はたして陸山会の不動産取得は小沢個人の蓄財にあたるのか――。不正蓄財疑惑で重要なのは、この1点に尽きる。小沢が不動産を政治活動以外の個人的な目的で流用しているかどうかだ。
07年2月の会見で小沢は、不動産購入の理由をこう説明した。
「皆さまの浄財を資産として購入したほうが、ただ単に家賃として流出してしまうよりも、より大切に活用できると考えて購入した」
小沢の説明通り、所有物件は陸山会の事務所があり、東京地検の強制捜査を受けた「チュリス赤坂」をはじめ、すべて小沢の政治団体の事務所や倉庫、秘書の住居用として使われてきた。
「政界広しといえど、小沢氏ほど大人数の秘書を抱える政治家はいません。衆院の比例ブロックごとに選挙スタッフを配置しているほか、国際情報の収集のため、英国、韓国、中国出身の外国人秘書も雇っています。都心の所有マンションは外国人秘書の居住用でした」(民主党関係者)
小沢は「小沢一郎政治塾」という“私塾”を運営するほか、日米間の草の根交流を行う財団法人「国際草の根交流センター」を設立。自ら会長に就いている。「政治資金で大量の不動産を保有する必要があるのか」という批判は、こうした小沢の政治活動のスケールの大きさを見誤った結果に過ぎないのではないか。いや、あえて見ようとしない結果ともいえる。
不動産取得で「私腹を肥やしている」という批判も的外れだ。“永田町の不動産王”は、土地取引で大きな損失を出しているのだ。
(つづく)


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