「不動産蓄財疑惑」といわれるが差し引き1億3000万円の大損

[国民は騙されている 小沢「強制起訴」の虚構]

(日刊ゲンダイ2011/2/1)

欺瞞と悪意

07年の法改正で、政治団体が不動産を新たに保有することが禁止された。当時、資金管理団体を通じて多数の不動産を持っていた政治家は、小沢一郎ただひとり。自公政権が、民主党代表だった小沢を狙い撃ちにして、法改正に踏み切ったのである。
「法改正を受け、小沢は資金管理団体『陸山会』所有の不動産を処分してきました。ほとんどマスコミは無視していますが、ピーク時に12件あった不動産のうち、現在までに5件を手放しているのです」(民主党関係者)

その収支決算は別表の通り。陸山会の収支報告書から、編集部が物件を特定し、購入額と売却額をまとめたものだ。それによると、5件の購入額は締めて2億1695万円。売却額は8630万円。差し引きの損失は、グランアスク麹町(譲渡)を含めると、総額1億3065万円にも及ぶ。
陸山会から小沢に売却されたラセーナ南青山についても収支トントンに見えるが、小沢は購入時に、陸山会がこの間に負担してきたローン利息分約300万円も上乗せして支払っている。これは陸山会の収支報告書に収入として記載されている。陸山会の不動産取得で小沢は私腹を肥やしているどころか、自腹を切っているのが実態なのだ。

小沢の側近だった平野貞夫元参院議員は「陸山会の不動産は小沢の政治活動の一翼を担うものであり、利殖目的の資産運用でないことも明らか。政治資金規正法で禁じられた資産運用にもあたりません」と語っていたが、その通り。確かに不動産の数や取得金額のデカさに普通の人は驚いてしまうが、違法性はどこにもない。

当たり前の話だが、小沢の世田谷区深沢の自宅や岩手県水沢の実家、妻名義の2つの別荘なども、陸山会の不動産リストには出てこない。

02年5月に、自民党の加藤紘一元幹事長が政治資金約8000万円を自宅マンションの賃貸料などに流用していたことが発覚。議員辞職を余儀なくされたが、大マスコミが問題視する小沢の不正蓄財疑惑は、加藤のような政治資金の私的流用とは根本的に異なる。「あれだけ不動産を買い漁っているのは怪しい」という単なる感情論、印象論の類いでしかないのだ。
不正蓄財疑惑で、小沢が週刊現代と争って敗訴した東京地裁の判決には、次の一文があった。
〈原告小沢は資産形成や利殖の目的がないと主張するが、これらの点も、結局、将来における取り扱いいかんによって、後世判断されるほかないものである〉
陸山会の不動産について、小沢個人はいかなる権利も有さないとする「確認書」を陸山会と相互に交わし、政界引退後は「後進の政治家育成活動などに生かしたい」と説明してきた。小沢の言い分の是非は、裁判所が判断したように、もはや後世に委ねるしかないのである。(つづく)

[物件名]
[用途]
[面積]
[売却日]
[売却額]
[購入日]
[購入額]

(1)
プライム赤坂
秘書用マンション
約17㎡
07年10月
1300万円
民間企業に売却
94年12月
1700万円

(2)
グランアスク麹町関連財団法人事務所
約79㎡
08年5月
0円
財団法人に無償譲渡
94年11月
1億1000万円

(3)
ラセーナ南青山
秘書用マンション
約36㎡
09年6月
3320万円
小沢個人に取得額で売却
01年12月
3320万円

(4)
クレアール赤坂
秘書用マンション
約26㎡
09年7月
(4)+(5)計
民間企業に売却
99年1月
2410万円

(5)
デュオスカーラ赤坂
秘書用マンション
約29㎡
09年7月
4010万円
民間企業に売却01年1月
3265万円




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