●ムバラク大統領の不出馬表明―背景に米政権の働きかけ
(WSJ 2011年 2月 2日 9:36) http://p.tl/xATq

「日々坦々」の資料ブログ  【カイロ】エジプトのムバラク大統領が1日、今年秋の任期切れに伴い退任する意向を示した背景には、米オバマ政権による働きかけがあった。政権幹部によるとオバマ大統領はこの日、次回選挙に出馬しないよう求めるメッセージをムバラク大統領に伝えていたという。

 オバマ大統領のメッセージを伝えたのは、前日に米国務省からエジプト政府との連絡役を託されたフランク・ウィズナー元駐エジプト大使だったもよう。また、マーガレット・スコービー現大使が、反政府勢力の中心的存在であるエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長と会談したと米政権当局者らは語った。同大使はエルバラダイ氏にエジプト政府との「実質的な対話を実施する」よう促したという。

 ただ、一貫して即刻退任を求めてきた群衆の怒りは不出馬表明後も収まっていない。ムバラク大統領の演説後、カイロ中心部のタハリール広場に集結した市民から怒りの声が上がった。

 最大野党のムスリム同胞団は、数カ月後に退陣するとの表明では不十分だと即座に批判し、抗議活動は続くと強調した。スポークスマンは「誰も満足していない」と訴えている。

 カイロでは、砂糖、コメ、塩、パスタ、パン、小麦粉のような食品の供給が不足しているとの訴えが聞かれた。スーパーにはこうした商品が在庫切れであることを示す掲示がある。パン屋は一つ当たりの価格を1エジプトポンドに引き上げていたが(通常は0.10~0.15ポンド)、今は小麦粉を切らしている。

 一方、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1日、エジプトの長期信用国債格付けを引き下げたほか、一段の引き下げの可能性もあると発表した。ムーディーズ・インベスターズ・サービスによる前日の格下げに続く動きだ。エジプトに対する両社の格付けは投資適格級より2段階低い(関連記事)。

 ホワイトハウスで1月31日に行われた非公式会合では、長時間の議論の結果、米政権はムバラク大統領が長く政権にとどまるシナリオはないと判断したという。ホワイトハウス当局者らは、同大統領の将来に関して明確な予測はなされなかったと述べた。

 エジプトでは同日、野党の委員会がムバラク大統領の失権を見据えた戦略会議を開いた。消息筋によると話の焦点は、軍部やスレイマン副大統領との交渉戦略を打ち出すことだったもよう。デモのまとめ役によると、野党側はムバラク大統領が政権を離れるまで譲歩しない方針という。スレイマン副大統領は同日夜にテレビを通じ、ムバラク大統領が政治・憲法改革について交渉する意向であることを表明していた。



●エジプト 退陣意向表明も混迷
(NHKニュース 2011年2月2日 19時30分)http://p.tl/Uy0b
エジプトのムバラク大統領は、大規模な反政府デモを受けて、ことし9月に予定されている大統領選挙には立候補せず、退陣する意向を表明しましたが、あくまでも大統領の即時辞任を求める市民や野党勢力は、2日以降もデモを続ける構えで、エジプト情勢は混迷を深めています。
大規模な反政府デモを受け、ムバラク大統領は1日夜、国民に向けて演説し、ことし9月に予定されている大統領選挙には立候補せずに退陣し、残る任期は政権の平和的な移行に取り組む意向を明らかにしました。しかし、あくまでも大統領の即時辞任を求め、デモに参加してきた市民は、大統領が任期を全うする姿勢を見せたことに強く反発しており、2日も、首都カイロ中心部の広場には数千人の市民が居座り、抗議を続けています。広場にはテントなどを張って泊まり込む人の姿も見られ、男性の1人は「大統領が辞任するまでここを離れない」と話していました。また、大統領の退陣表明を受け、野党勢力も2日に会合を開き、対応を検討することにしていますが、すでに最大野党勢力の「ムスリム同胞団」は引き続き即時辞任を求め、2日以降もデモを続ける構えです。一方、市民の間では混乱を収めるため大統領の退陣表明を受け入れるべきだという意見も出始めているほか、軍の報道官も先ほど声明を出し、デモ隊に対し、国の安定のため抗議行動をやめ自宅に戻るよう呼びかけました。イスラム教の集団礼拝が行われる4日に向けて、再び大規模なデモが起きるのか、それまでに事態が収束に向かうのか、予断を許さない状況です。


●ムバラク大統領、再選断念=30年独裁政権に終止符-デモ、体制突き崩す・エジプト
(時事通信2011/02/02-11:26) http://p.tl/E4d2
 【カイロ時事】エジプトのホスニ・ムバラク大統領(82)は1日夜(日本時間2日朝)、国営テレビを通じて演説し、9月に予定される次期大統領選挙に出馬しないと表明した。これにより、1981年以来、30年に及んだ同大統領の独裁政権に終止符が打たれることになった。チュニジアでの政変を受けて1月25日に始まったエジプトでの反政府デモに現れた民衆パワーは、わずか8日間で、堅固と思われたムバラク体制を突き崩した。
 「アラブの盟主」エジプトの独裁政権が民衆デモにあっけなく敗北したことで、これまで民主化が遅れていたアラブ諸国の体制にも影響が及ぶのは必至の情勢だ。
 ムバラク大統領は演説で「次期選挙に出馬するつもりはない」と述べた。ただ、現任期中は大統領職にとどまり、平和的な政権移行を確実にすると表明した。
 大統領はこのほか、事態沈静化のため憲法改正に着手する考えを表明。議会と政府に対し、社会、経済の改革を進めるよう指示したと言明した。また警察に対し、国民に奉仕する精神、人権や自由を尊重するよう求めるなど、これまでも批判を受けていた政権体質の改革を進めることを国民に約束した。
 ただ、カイロ中心部で夜になっても続いていたデモ参加者の中には、ムバラク大統領が即時辞任しなかったことに反発する声が強い。次期大統領候補の声もあるエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長も、引き続き辞任を求める意向を表明しており、事態が収拾するかどうか不透明だ。


●ムバラク大統領が9月辞任を表明 市民は即時辞任を要求
(CNN 2011.02.02 Wed) http://p.tl/DVh5

100万人が抗議集会に参加

カイロ(CNN) 国民による大規模デモで退陣を迫られているエジプトのムバラク大統領(82)が1日夜、今年9月に予定される大統領選で後継者に権限を譲ると表明した。即時辞任を求めるデモ参加者からは「不十分」との声が上がっている。

ムバラク大統領は「私の責務はまずわが国の安定と治安を回復させ、平和的な権力移行を達成することだ」「国民の要求がかなえられるような移行の道を探る」と述べた。

一方、首都カイロ中心部のタハリール広場では、大統領の発表後も数千人規模のデモ隊が「ムバラクよ去れ」「国民は大統領への裁きを求めている」などと叫び続けた。

米ワシントンでは、オバマ政権の対エジプト政策にかかわる当局者がムバラク大統領の決意を「正しい方向への重要な一歩だ」と評価した。米政府は大統領に対し、自身や息子のガマル氏が次期大統領選に出馬しないことを明言するよう求めていた。

ムバラク大統領は新たに任命したスレイマン副大統領に、改革へ向けた野党との協議を指示した。これに対し、ムスリム同砲団など6党の野党勢力は1日、大統領退陣や暫定政府発足、憲法起草委員会の設立など5つの要求事項を挙げたリストを共同で提示していた。



●エジプト、ムバラク大統領退陣へ 9月選挙に不出馬表明
(共同通信2011/02/02 07:49) http://p.tl/8Rqs
 1日夜、国営テレビで演説し、退陣の意向を表明するエジプトのムバラク大統領(ロイター=共同)

 【カイロ共同】エジプトのホスニ・ムバラク大統領(82)は1日夜(日本時間2日早朝)、国営テレビで演説、今年9月に予定される大統領選に出馬せず、退陣する方針を表明した。約30年の独裁体制を続けた大統領は、100万人規模の空前の反政府デモなどで続投断念に追い込まれた。しかし、野党勢力は即時辞任を求めており、デモが続く可能性もある。

 ムバラク氏は残りの任期を平和的な権力移行や社会、経済、政治改革にあてると表明。大統領選立候補者を厳しく制限している憲法の改正を、野党などの求めに応じて進める考えを示した。

 人口約8千万人を抱える親米アラブの大国エジプトに、チュニジアの政変が波及した。イスラエルとパレスチナの和平仲介などに尽力したムバラク大統領が、民衆蜂起により退陣表明に追い込まれたことは、中東情勢や米国の中東政策などに重大な影響を与えそうだ。

 ムバラク氏は1928年、北部メヌフィヤ県生まれ。士官学校を卒業、72年空軍司令官となり、翌年の第4次中東戦争で活躍、75年副大統領に。81年10月のサダト大統領暗殺で大統領に就任した。

 内政面では長期にわたって非常事態法を維持。治安維持とイスラム勢力の封じ込めのため強権的手法を用い、民主化勢力から批判を受けていた。今年9月には大統領選が予定され、ムバラク氏が6選を目指して出馬するとの観測が出ていた。



●エジプト大統領が9月の辞任を表明、市民は即時辞任を要求
(朝日新聞2011年2月2日) http://p.tl/O6Du
 [カイロ 1日 ロイター] エジプトのムバラク大統領は1日、テレビを通じて演説し、再選は目指さないが、円滑な権力の移譲に向けて任期を全うする方針を表明した。

 同大統領は82歳。エジプトでは約30年にわたって独裁支配を続ける同大統領の退陣を求める大規模な反政府デモが続いており、大統領の方針表明に対して、カイロ中心部のタハリール広場に集まった市民からは、「われわれは立ち去らない。立ち去るのはムバラクだ」などと、即時辞任を要求する声が上がっている。 

 ムバラク大統領はまた、エジプトの地に骨を埋めると述べ、政変によってサウジアラビアに亡命したチュニジアのベンアリ前大統領と同じ道はたどらない決意を強調した。

 大統領は「わたしの国であり、わたしが生きてきたところだ。わたしは戦い、その土地と主権と利益を守ってきた。わたしはその地で死ぬ」と述べた。

 大統領選は9月に実施が予定されている。

 CNNによると、エルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長は同日、ムバラク大統領の動きは権力の座にとどまるための「トリック」だと指摘し、反政府デモ隊の要求を十分満たしたとは思えない、との認識を示した。

 エルバラダイ氏はCNNとのインタビューで、9月に行われるエジプト大統領選挙への出馬を検討していることを示唆したが、それは現時点の主な関心事ではない、と付け加えた。

 CNNによると、エルバラダイ氏は、ムバラク大統領が即座に辞任し、大統領選挙まで暫定政府に権力を移譲することが好ましい、と語った。 

 多くのアナリストは、ムバラク大統領の政権維持は困難ではないかと予想。今後の動向は軍の対応にかかっているとの見方が多い。

 米当局者によると、オバマ大統領の特使は1日、ムバラク大統領と会談し、秩序ある権力移行の準備を始めるよう促した。  

 野党勢力はエルバラダイ氏を軸にまとまりつつある。

 同氏は1日、大統領が出国しない限り、今後の国政について政府と協議することはないと述べた。



●直ちに政権移行着手を=即時退陣は迫らず-エジプト情勢で米大統領
(時事通信2011/02/02-11:24)http://p.tl/CJHK
 【ワシントン時事】オバマ米大統領は1日、エジプトのムバラク大統領が秋の大統領選への不出馬を表明したことを受けて声明を発表、「秩序ある移行を今、始めなければならない」と述べ、直ちに政権移行プロセスに着手するよう求めた。ただ、ムバラク大統領の即時退陣までは迫らなかった。
 オバマ大統領は「数千年を通じ、エジプトには転換期が多々あったが、国民は今こそがその瞬間だと訴えている」と言明。野党各派を含めた形で、有意義かつ平和的で秩序ある政権移行を開始し、自由で公正な選挙の実施につなげるべきだと訴えた。



●エジプト大統領、秩序ある権限移譲を「今始める必要」=米大統領
(ロイター2011年 02月 2日 09:59) http://p.tl/3ZMD

 [ワシントン 1日 ロイター] オバマ米大統領は1日、エジプトのムバラク大統領と電話会談し、秩序ある権限の移譲を「今始める必要がある」との考えを伝えたことを明らかにした。

 ムバラク大統領が9月まで大統領職にとどまる意向を示したことに対しては、支持を明言しなかった。

 ムバラク大統領はこの日の演説で、9月に辞任し再選を目指さない考えを示した。演説後、オバマ大統領は30分間にわたってムバラク大統領と電話会談した。

 

 オバマ大統領はホワイトハウスで「明らかなのは、そして私が今夜ムバラク大統領に伝えたのは、秩序ある移譲は意味のあるものでなければならないということ、平和的でなければならないということ、そして、今始めなければならいということだ」と発言。

 「エジプトの市民、特に若いエジプトの市民に対しては、次のことを明確にしたい。あなた方の声は届いている。自分の運命を決め、子供や孫の明るい未来をつかむのはあなたたちだと、私は固く信じている」と述べた。 

 オバマ大統領は「(ムバラク大統領は)現状は持続不可能で、変化が必要であることを認識している」との見方も示した。



●ムバラク大統領が引退表明 オバマ氏は即時退陣促す
(朝日新聞2011年2月2日11時44分) http://p.tl/bUUK

 数十万人のデモ隊から即時退陣要求を突きつけられたエジプトのムバラク大統領は1日夜(日本時間2日朝)、9月の次期大統領選に出馬しない考えを示した。任期中は大統領職にとどまる意向を示し、即時退陣は拒否した。これを受けて、オバマ米大統領は「秩序ある移行を今、始めなければならない」とする声明を発表し、ムバラク氏に即時退陣を促した。米国がムバラク氏に対し、改めて「引導」を渡した形だ。

     ◇

 【カイロ=貫洞欣寛】ほぼ30年に及び、強権支配を続けるムバラク氏は、自身による統治の継続は断念に追い込まれた。その一方、同氏は演説で、9月までの任期を全うし、現体制の維持を図りたいとの思惑を強くにじませた。即時辞任を否定したことで、空前の規模にまで広がったデモが収束する気配はない。

 ムバラク氏は演説で、「私は義務と責任を途中で放棄することはない」と述べてあくまで即時退陣する意思のないことを明言。「平和的な権力移行を目指す」として、現在は与党・国民民主党(NDP)に極端に有利になっている大統領選の立候補資格に関する憲法規定を、9月の大統領選に向けて改正するよう、議会に指示すると述べた。

 エジプト大統領選では、立候補するためには人民議会議員65人以上の署名を集める必要がある。だが、政権側の選挙干渉などにより、議席はNDPがほぼ独占しており、野党や無所属の候補が立候補するのは現状ではほぼ不可能だ。

 NDPによる選挙制度の改正は、再び与党に有利なものとなる可能性が高く、スレイマン副大統領を後継者とし、NDP中心の現体制を維持する狙いがうかがえる。

 ムバラク氏はまた「エジプトは私の母国である。私はここで死に、歴史に評価される」と述べ、国外亡命を否定。さらに「私は副大統領に各党と対話するよう命じ、改革を進めようとしているが、それを無視している勢力がいる」と野党を批判した。

 これに対し、反政権デモを主導する野党勢力「4月6日運動」や、最大の野党勢力ムスリム同胞団の広報担当者はそれぞれ「我々が求めるのはムバラク氏の即時退陣であり、デモを続ける」と述べた。

 エジプト全土では1月25日から、反ムバラク政権デモが続き、2月1日には数十万人がカイロ中心部の広場に集まった。

 衛星テレビ局アルジャジーラによると、北部アレクサンドリアでは2日未明(日本時間同日朝)、反ムバラクとムバラク支持のデモ隊が衝突、銃声が聞かれ、軍の戦車が両者に割って入ったという。

     ◇

 【ワシントン=望月洋嗣】オバマ米大統領は1日、ムバラク大統領に新政治体制への「秩序ある移行を今、始めなければならない」と呼びかけ、即時退陣を促した。オバマ大統領はムバラク氏のテレビ演説後に同氏と電話会談し、こうした意向を伝達。ムバラク氏は変化の必要性を認めたという。

 オバマ氏はホワイトハウスで声明を読み上げ、「政権の座にある者は人々の意思に従うべきだ」「数千年の歴史の中でエジプトにはいくつも変革期があったが、エジプトの人々の声は、今はその時だと言っている」と指摘。ムバラク氏の退陣によって、幅広い野党勢力が参加する政治プロセスを実現し、自由で公正な選挙を実施するよう求めた。

 米メディアによると、米政府の非公式の特使であるウィズナー元駐エジプト米大使は1日、ムバラク氏と会談し、「米政府はムバラク氏の任期は終わったと見ている」と伝達。9月の大統領選への不出馬表明を迫ったという。

 米国務省によると、スコビー駐エジプト米大使は1日、民主化指導者のエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長と接触し、米国が「秩序ある政権移行」を支持する考えを伝えたという。