●中国の国営メディア、エジプトの反政府デモは控え目に報道
(ロイター2011年 02月 2日 16:37) http://p.tl/eWrN
[北京 2日 ロイター] エジプトで拡大している反政府デモをめぐり、中国の国営メディアはエジプトの民衆運動が中国に波及することを懸念し、全般にコメントを控えて報道している。
 エジプトのデモはトップ級のニュースとしては扱われておらず、報道は動きの取れなくなった中国人救出のための努力が中心で、大規模デモや戦車の映像はほとんど伝えられていない。
 1989年の天安門事件で検閲に反発して解任されたことのある元ジャーナリスト、Li Datong氏は「これは中国政府にとって非常に微妙な問題で、1989年の記憶を思い起こさせている。(国営メディアは)無論、カバーを制限したいと考えており、警官が市民を攻撃せず、平和的に市民と合流している映像などに対し、特に神経質になっている」と述べた。
 また、中国では「エジプト」をキーワードとする簡易ブログの検索が遮断されているが、一部のコメントと、デモや戦車の画像は流されている。



●民主活動家の締め付け強化=エジプト情勢受け警戒か-中国
(時事通信2011/02/02-14:25)http://p.tl/v-_e
【北京時事】中国人権民主化運動情報センター(本部香港)は2日、中国当局が3日の春節(旧正月)を前に、民主活動家に対する締め付けを強化していると伝えた。エジプトでの大規模な反政府デモを受け、中国国内で民主化機運を高める動きが起きることを警戒しているとみられる。
 同センターによると、北京市や貴州、浙江、湖南の各省では、当局が春節を前に民主活動家に対し、帰省して家族そろって新年を祝わないよう警告。昨年11月に出所した湖北省武漢市の民主活動家、秦永敏氏は1日、公安当局に連行された上、10日間の拘置を告げられて拘置所での年越しを余儀なくされた。ノーベル平和賞を受賞した獄中の民主活動家、劉暁波氏も春節休暇中に家族と面会できないことになったという。
 同センターは「当局が春節の帰省を阻止するのは1989年の天安門事件以降初めてで、民主活動家が連絡を取り合うのを防ぐのが狙いだ」と指摘している。



●エジプト情報が流入か=住民に拡散、当局警戒-北朝鮮
(時事通信2011/02/02-14:19)http://p.tl/dYw7
 【ソウル時事】米政府系の自由アジア放送(RFA)は2日、エジプトで起きた反政府デモの情報が北朝鮮でも携帯電話を通じて住民に広く伝わっていると報じた。北朝鮮情勢に詳しい米実業家の話として伝えた。
 北朝鮮当局者と接触するこの実業家によると、海外滞在者が北朝鮮内の家族や知人にエジプトの民衆デモについて伝え、この情報が携帯電話を通じて住民の間で急速に拡散。当局が神経をとがらせているという。



●中国 エジプト情勢の情報制限
(NHKニュース2011年2月2日 10時17分)http://p.tl/ctz0
大規模な反政府デモが続くエジプト情勢について、中国政府は早期に安定を取り戻すことに期待を示す一方、反政府の動きが、インターネットを通して広がっただけにエジプト情勢を巡る情報を制限するなど、神経をとがらせています。
大規模な反政府デモが続くエジプト情勢について、中国外務省の洪磊報道官は、1日の記者会見で、「情勢の行方を注意深く見守っている。エジプトが社会の安定と正常な秩序を早く取り戻すことを願っている」と述べました。
エジプト情勢について、中国のテレビや新聞などは、民間のチャーター機が自国民の救出に乗り出したことなど、中国政府の取った一連の対策については、連日のように伝えています。
その一方で、中国のインターネットの交流サイトでは、「エジプト」や「デモ」などのことばを入力して検索すると、「法律によって表示できない」として、情報が制限されている状態です。
中国政府は、エジプトの反政府デモが長期にわたる強権的な政権に対する抗議に加えて、物価の高騰や若者の就職難など、中国が抱える同様の問題が背景となり、インターネットを通して広がっただけに神経をとがらせています。



●【社説】中国、エジプト騒乱に無縁ではいられず
(WSJ2011年 2月 2日 17:05) http://p.tl/bm9h

 エジプトでの騒乱を受け、同国の強権政治が批判されている一方で、中国共産党の権力維持はこのまま安泰でいられる理由について、様々なメディアで識者が説明を試みている。ホスニ・ムバラク氏統治のもとで、必然的にエジプト経済は低迷し、強欲なエリート層は国民所得の不均等な配分を掴み取った。その一方で中国は機会と繁栄を国民に配分している。

 両国をさっと比較してみれば、現実はもっと複雑だ。エジプトの経済成長率は中国の半分ほどだが、不景気ではなく、ここ数十年の改革が結実している。エジプトの1人当たり国内総生産(GDP)は約5900ドル(約48万円)で、平均的なエジプト人は中国人よりも暮らし向きがよい。中国の1人当たりGDPはエジプトの3分の2程度。中国の所得格差はエジプトより拡大している。


 最も関連する経済指標はエジプトの失業率と高インフレ率だ。エジプト経済は、若年層のほか、増加している人口に見合う雇用を創出するほど成長はしていない。一方、公式のインフレ率は過去2年間10%以上で推移し、食品価格はそれ以上の上昇率を示している。強権政治に対する不満のレベルは満ち引きがある。しかし、中国で1980年代の後半にあったように人々は高インフレで生活水準が影響を受ければ、大衆行動を取る。

 その意味で中国の安定しているとされる状況は見直しが必要だ。成長ペースは減速しており、経済は依然として、非熟練労働者を雇用している輸出企業に依存。大卒者の失業も大きな問題として再浮上している。改めて大手国有企業が優遇されているため、共産党のエリート層が恩恵を受ける一方で、起業する機会は低下している。

 エコノミストのダイアナ・チョイレバ氏が先週、本紙に寄稿したように中国のインフレ率は実際には二桁に近づいてる。中国は国内騒乱とは無縁と考えるべきではない。

 中国当局は、海外の動きが国内に伝播するリスクにさらされている。「カイロ」「エジプト」といった単語はミニブログではブロックされており、国営新聞はデモ隊の民主化要求についてはほとんど伝えていない。「カイロ」「チュニジア」などが言及される時は、抗議行動がネガティブなものとして報じられる。

 東欧の社会主義国政府の崩壊やその後の「カラー革命」のように、中東情勢は中国当局の姿勢に大きな影響を与えるだろう。共産党は統治の責務として、経済成長の実績を喧伝している。しかし、台頭している利益集団を吸収して抑える能力が、「粘り強い」権威主義とされる中国にとって重要なカギとなる。これは一段と難しくなっている。過去数年経済成長が続いているものの、中国政府は報道規制を強め、反体制活動家を投獄している。

 北京にあるアニメ会社Hutoonは最近、一連のスキャンダルに怒ったウサギが蜂起して、党幹部を殺すというバイラル・ビデオ(ネット上の口コミで広がことを目的とした広告などの映像)を流した。共産党は引き続き、一党独裁による問題は経済成長によって解決するという方針を堅持するだろう。しかし、インフレが悪化すれば、歴史が示すように中国の安定は幻想になる可能性がある。