枝野を直撃した「政治とカネ」 (日刊ゲンダイ2011/2/5)

不可解な仕分けと献金の怪しい関係

参院選惨敗で幹事長代理に降格されながら、ゾンビのように復権した枝野官房長官(46)は、とかく「政治とカネ」にうるさい。秘書が逮捕された政治家は許せない。「説明責任を果たせ」「ケジメをつけろ」と小沢元代表を責め立てている。

そんな「ミスター・クリーン」が4日、国会で窮地に立たされた。疑惑を追及され、タジタジになったのだ。
問題にされたのは、09年11月に行われた独立行政法人「国立印刷局」の事業仕分けである。仕分け人の1人が廃止、残り12人が見直しと判断したにもかかわらず、当時座長をやっていた枝野長官は「国が直接やって、その結果、逆にスリム化するということを考える」と結論づけた。鶴の一声で「国に戻そう」と取りまとめたのである。

実現すれば、職員は国家公務員だ。「国家公務員の2割削減」という民主党の公約にも矛盾する。理解に苦しむ判断だが、実は、印刷局と枝野長官は“知らぬ仲”ではなかった。印刷局の発注額が事業収入の6割を占める財団法人「印刷朝陽会」で、枝野長官の義父が理事を務めているのだ。評議員には別の親族に加え、義父と枝野長官が所属する法律事務所の同僚弁護士もいる。
朝陽会は財務省所管の法人で、歴代理事長は財務省からの天下りだが、それを含めた10人の役員のうち、3人までが枝野長官の身内なのだ。

しかも、枝野長官は、義父とこの親族から、10年間で1616万円あまりの献金を受けている。印刷局に対する不可解な決断と、契約関係にある天下り団体で役員を務める親族からのカネ――。枝野長官は、「義父は無償で理事をやっている」「お互いに仕事について話したことはない」と弁明したが、確かにキナ臭い。

この問題を取り上げた自民党の菅原一秀議員が言う。
「印刷朝陽会は、枝野ファミリー財団であり、高級官僚の天下り財団とも一体ではないか。そのため、国立印刷局の仕分けがお手盛りにされた可能性は高い。印刷局については、市ケ谷センター、虎ノ門工場など、時価1000億円相当の資産の売却も進んでいません。鳴り物入りで始めた事業仕分けですが、再検証が必要です」

説明責任やケジメとは何なのか。枝野長官には、身をもって示してもらいたい。



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