[小沢「陸山会」事件 初公判]検察と全面対決!石川議員ら3人 そろって無罪主張

(日刊ゲンダイ2011/2/7)

水谷建設からの現金受領「断じてない」

予想通りの「全面対決」だ。小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で起訴された石川知裕衆院議員(37)ら元秘書3人の初公判がきょう(7日)、東京地裁(登石郁朗裁判長)で開かれ、3被告はそろって無罪を主張した。

午前10時過ぎから始まった初公判で3人は口々に起訴内容を否定した。
石川被告は「(収支報告書の)虚偽記載との意識はなかった。水谷建設から現金を受け取った事実は断じてない」と無罪を主張した。元公設第1秘書大久保隆規被告(49)は「虚偽の記入があったかどうかは知らなかった」と全面否認、元私設秘書池田光智被告(33)も「虚偽記載をするつもりは全くなかった」と否認した。

裁判の争点は石川、池田両被告の供述調書の信用や、水谷建設からの裏献金の有無など。検察側は冒頭陳述で、2004年10月15日に石川被告が、ダム建設工事を下請け受注した謝礼として、水谷建設側から現金5000万円を受領したと主張。05年4月には、大久保被告がさらに5000万円を同社側から受け取ったとした。小沢元代表から陸山会が借り入れたとされる4億円については、原資を明らかにすることができない資金で、収支報告書に記載することで報道機関などから疑念を持たれないようにするため、記載しなかったと述べた。

弁護側は、規正法違反に問われた04年分の収支報告書には、小沢元代表からの4億円の借り入れが記載されており、虚偽記載には当たらないと主張。水谷建設からの資金提供については、起訴内容と無関係で、立証することは違法だと述べた。石川被告らの供述調書については、検事の誘導などによって作成されたもので、信用できないと主張した。公判では、石川被告と大久保被告に現金を手渡したと供述した元水谷建設社長ら、12人の証人尋問が予定されている。7月20日に結審、秋ごろに判決が言い渡される見通しで、秋以降に始まるとみられる小沢元代表の公判にも影響を与える可能性がある。

初公判に臨んだ3人はともに黒いスーツ姿で、青っぽいネクタイと白いシャツを着用。数分間に及んだ起訴状朗読では、大久保被告は前を見据えたまま直立。一方、議員バッジを胸に着けた石川被告と、池田被告は小刻みに体を揺らしたり、手を組んだりしていた。
罪状認否には3人とも書面を用意して臨み、弁護人の意見陳述も含めると15分ほどに及んだ。被告席に戻った大久保被告は疲れた表情を見せ、石川、池田両被告の顔はやや紅潮していた。

◆[弁護側指摘]「オヤジ助けるため」と誘導

元秘書調べで前田元検事
陸山会事件の初公判で弁護側は、証拠改ざん事件で起訴された前田恒彦・元大阪地検検事(43)が、大久保被告の取り調べで「石川さんはオヤジ(小沢元代表)を助けるため認めている。大久保さんも認めてください」などと自白を誘導したと主張した。
弁護側冒頭陳述によると、前田元検事は取り調べ中に不可解な言動を重ね、号泣することもあった。このため大久保被告は「逆らえばどんな目に遭わされるか分からない」と恐怖感を覚えたという。

前田元検事は「石川さんは、オヤジを助けるためなら認めた方がよいとの検事の説得を受けてしゃべり始めています。大久保さんが石川さんの話を受けてあげないとどうにもなりません」と発言。池田被告が釈放される可能性にも触れた上で、「大久保さんも認めてください」と述べたとされる。




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